「怒り」がスーッと消える本
怒りを我慢する必要は全くありません。が、怒りをコントロールすることはできます。コントロールできれば、人生の質が高まります。
怒りは人にとって厄介な感情の1つです。
それは扱うのが非常に難しい感情だからです。
我慢すれば身体を壊しかねないし、爆発させれば対人関係を壊しかねない。
怒りを感じること自体を「大人気ない」と評価してしまうこともあるし、そうなると自分のことも嫌いになってしまいかねない…。
思い当たる人も多い事と思います。
このような、困った感情の1つ、怒り。どう扱っていったらいいのでしょうか?
そのヒントが本書にあります。
ステップ1からステップ7までの段階があり、着実に怒りをコントロールする方法について知り、学んで、獲得していくことが出来る様になっています。
まず大前提としておさえておきたいのは
怒りも人間に備わった感情である以上、意味があるもの
P18
ということです。
怒りの感情の本当の意味をわからないまま曖昧にしてしまうことが怒りを持続させ、上手く付き合えなくさせる要因になっているのです。
例えば、僕たちの身体が「熱い」ということを感じなくなってしまうと大火傷を負ってしまうかもしれません。「熱い」という感覚は、「危険」「離れて」ということを教えてくれているのです。
「熱い」という感覚そのものは不快ですが、なくてはならないものです。
「怒り」もこれと一緒だ、というのが本書の主張なのです。
「怒り」が僕たちに何を教えてくれているのかをしっかりと把握できるのであれば、決して怒りを我慢する必要はないのです。
怒りは心の痛覚のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
P26
怒りを感じることは決して悪いことではなく、むしろ怒りをしっかりと自覚することがまずは大切です。
ここを自覚できないと「何か怒りを感じざるを得ない大変な事が起きている」ということにもなかなか気づけないからです。
「何か怒りを感じざるを得ない大変な事が起きている」ということに気づければ、その大変な事を処理するための適切な行動を取ることができます。
もちろん、「私を怒らせたのは相手だ。なぜ怒っている自分が適切な処理をしなければならないのか?」と思われるかもしれません。
しかし、
これは人間として当然の気持ちなのですが、気づいておきたいのは、怒りによって損なわれるのは相手の人生ではなく、自分の人生だということです。
P30
相手が謝罪などをして、僕たちの怒りをなだめてくれるに越したことはありません。しかし、相手がそれをしてくれるか分からない中でそれを待ち続けるということは、「怒り」という不快な感情を抱き続ける被害を自分にかけ続ける事にもなってしまうのです。
怒りを生む被害を受けているだけでも相当外傷的でしょう。それなのに、怒りという不快感を抱き続けるようにすることは、第二の外傷体験となってしまいます。
それを避けるために
怒っている自分にやさしくしてみましょう。
P36
もし、自分の大切な人が同じ目にあったらどんなやさしい言葉をかけるかを想像し、その言葉を自分自身にもかけてあげるのです。
どうですか?上記したことは、非常に為になる事ばかりだったかと思います。
ですが、ここまでの話は全てまだステップ1の話です。これ以降もステップ7までこのような具体的で役に立つ怒りをコントロールするコツがたくさん書かれています。
以上ステップ1では、怒りには「何か大変な事が起きていることを教えてくれるサインである」ということが学べました。
続くステップ2では、「怒りが生じる理由」について学べます。
ステップ3では、「相手と自分が双方に期待することが異なる時に怒りが生じる」ということを具体例を挙げながら列記してくれています。
ステップ4では、怒りにまかせた話し方ではない、冷静に自分の気持ちを伝えるコミュニケーション術が学べます。
ステップ5では、怒りを感じる背景に思い込み(例:こうするべき(なのにしない))がある場合のそれの取り除き方が学べます。
ステップ6では、怒りに振り回されない「人生」にしていくコツが学べます。
ステップ7では、怒りを向けられた時への対処法が学べます。
どのステップも必ず参考になる個所があるかと思います。
いくつかアンガーマネジメント系の本は読んだことがありますが、本書が一番分かりやすく実践的です。
自分のことを好きになれなかったり、思わず心にもないことを言って相手を傷つけてしまったり…。
できれば怒りを感じたくはない、そう思っても不思議ではありません。
しかし、本書にもあるように、怒りは元々人間に備わっている大切な感情の1つです。「感じたくない」と言っても感じるものだし、自然に感じるものを無視すればどこかに歪みが生まれます。
であるならば、怒りの本来の機能をしっかりと踏まえた上で、適切な対応をした方が、自分にも相手にも建設的です。
怒りを感じることがあっても、それを自分の人生、そして大切な人の人生を向上させていけるような処理の仕方を学び、日々尽力していきたいと考えています。