心理職でもできる資産形成と運用

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FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

悲しみの対処方法!悲しみにはプロセスがある

Cry, Bad Weather, Rain, Drip, Smilies, Sad

 

リヒト(@r2209)です。
いやはや、久しぶりの更新になってしまいました。

 

今日はどんな話ですか?久しぶりの記事なんですから、時間とって準備したんですよね?良質な記事なんですよね?アクセス伸びますよね?

 

いや、なんでわざわざハードル上げるのよw
今日は「悲しみ」に対する対処法についてまとめたよ。良質かどうかは分からないけど、僕なりに一生懸命まとめたので、良かったら読んでいってくださいね〜

 

 

悲しみの意味

怒り、不安と、不快な感情の対処法を検討してきましたが、今回は悲しみについて見ていきたいと思います。 

 

 

 

悲しみも不快ですぐにでもなくしたいもののように感じるでしょうが、感情である以上、そこには必ず意味があります。

 

怒りは困っていることが起きているサイン、

不安は安全が確保されていないことを知らせるサインでした。

 

では、悲しみはどんなサインなのでしょうか?

 

悲しみは「何かを失った」というサインです。

 

何かを失った訳ですから、充分に自分をいたわる必要があるタイミングであるということを知らせてくれているのです。

 

 

悲しみは怒りや不安とちょっと違う側面が

悲しみが、怒りや不安と異なる点は、「何かを失った」の「何か」はこれからもずっと無いままであることが多い、ということです。

 

怒りの感情は、相手に「困っていること」を伝えたら、困っていたことは解消するかもしれませんので、それによって収まる可能性が高いでしょう。

 

不安の感情も、アセスメントしたり、逃げたりすることで、「未知の体験」が「既知の体験」へと変化してくれるので、それによって不安が減る可能性は高いでしょう。

 

 

しかし、例えば、大切な人と死別した時に感じる悲しみは、どう頑張っても大切な人は生き返らないので、悲しみはなかなか解消されることはないでしょう。

場合によってはずっとその人は悲しみの中にあり続けるでしょう。

 

ですから、悲しみへの対処は他の感情に比べ、時間がどうしてもかかります。

プロセスが必要なのです。

 

 

悲しみに対処する際に参考になる死の受容モデル

キューブラー・ロスをご存知でしょうか?

彼女の著した死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)は不朽の名著ですから、まだ読まれたことが無い方は、是非読まれてください。

 

仮に読んだことが無い方でも、本書の中で紹介されている「死の受容モデル」は知っている方も多いかも知れません。

 

死の受容モデルとは下記の5段階を経て死を受容していくとするものです。

 

第1段階:否認(否認と孤立)

余命があとわずかである事実に衝撃を受け、頭では自らに死が訪れることを理解できるものの、その事実を拒否し否定する段階。周囲から距離をおき、孤立する。

 

第2段階:怒り

死を否定しきれない事実だと自覚したとき、「どうして何も悪いことをしていない私が死ななければならないのか」と問い、怒りにとらわる。周囲にもつい皮肉を言ってしまう傾向にある。

 

第3段階:取引

慈善活動をしたり、今までの悔いを改め、そのかわり死を遅らせてほしいと、神や仏にすがる段階。

 

第4段階:抑うつ

何をしても「死は避けられない」とわかり、気持ちが滅入り、抑うつ状態になる。

 

第5段階:受容

「生命が死んでいくことは自然なことだ」と死を受容することで、心の平安を取り戻す。

 

死は何をしても避けられないため、どうしてもこれだけの壮絶なプロセスを経る必要があるのです。

 

死の受容は、まさに悲しみを受容する一つの究極の形態です。

ですから、他の悲しみに対処する上でも、この死の受容は参考になるでしょう。

悲しみのプロセス

事実を追う段階

死の受容モデルから分かるように、何か大切なものを失い、悲しみの感情が出てきたとしたら、最初は「信じられない」という衝撃を受けることでしょう。

はじめはこのように感じても、致し方がありません。頭では分かっていても、気持ちが追いつかないのです。

 

ですからこの時期は無理に感情と向き合う必要はまったくありませんし、それが適切とも言えません。

 

この第一段階では、まず事実を追うことが重要です。

 

実際に起こったことを順番に振り返っていくのです。

どのようにしてその事実を知ったのか。その時どこにいたのか。

最後に交わした会話はどんなだったのか。

 

こういった事実を1つ1つ整理することで、頭で分かる段階から気持ちが徐々に追いつく段階に移行するでしょう。

 

当たり前の感情に気づく段階

時間の経過とともに「大切なものを失ったことは現実だ」と認識できるようになってきます。ようやく「悲しめるようになった時期」と言っても良いかも知れません。

 

この時期にすべきことは、しっかりと悲しみ尽くすということです。

 

ただこの時期は、死の受容プロセスでいうところの第2段階から第4段階に該当する時期であり、様々な感情が一緒くたになって現れてきます。

 

「どうして自分を置いて逝ってしまったのか」「どうして僕に別れを告げたんだ」

「私は結婚して幸せになるはずだった」

 

などという思いから、怒りや混乱、憎しみなど様々な感情も一緒になって出てくることでしょう。

 

この時、どの感情も決して否定しないでください。悲しみに対処するプロセスの中ではむしろ様々な感情が溢れ出るのは自然なことだからです。

自然なことを否定するのは、極めて不自然です。不自然なところには必ず何らかの歪みが起こってしまいます。

 

と、同時に、本質的な感情は「悲しみなんだ」ということは忘れないでいただきたいと思います。

 

例えば、大切な人を亡くしたことによって悲しみのプロセスを経る場合、「相手の幸福を願いたい」「いつまでも悲しんでいたら故人も報われない」と考え、その悲しみをつい無視して、明るく振る舞おうとしてしまったりします。

 

本質的な感情は「悲しみなんだ」ということを忘れないでください。

 

振られたことで悲しいのに、相手への憎しみがメインだと感じると、いつまでも自分の人生を相手の反応にゆだねてしまうことになりかねません(復縁してくれれば私の人生はOK。でもそうじゃないかぎりNG)。

 

本質的な感情は「悲しみなんだ」ということを忘れないでください。

 

例え、どんなに悲しみを感じる出来事があっても、あなたの尊厳はそれによっては失われません。あなたはあなたの人生を相変わらず歩んでもよいのです。

 

癒されていく段階

このようなプロセスを経て、ようやく悲しみは癒されていくのです。

 

この段階で覚えておいて欲しいのは、癒されることと忘れることとは別である、ということです。

 

亡くなった故人を偲んで悲しまなくなることは、故人を忘れることではありません。故人をないがしろにすることでもありません。

 

単に、関係性が変わっただけです。相手との関係性を再構築したのです。

相手を人として尊重する気持ちがなければ、関係を再構築しようだなんて思うはずがないのです。 

 

その人を、そしてこれからの人生を歩んでいく自分自身を大切にするからこそ出来ることなのだ、と思っていただければと思います。

 

 

周りに悲しみのプロセスにいる人が居たら

悲しみを1人で抱えるのは大変にしんどいものです。

 

もし周りに一人悲しみのプロセスを歩んでいる人が居たら、そっと話を聞いてあげてください。

巷では「心理カウンセラーでも、仕事でやっている時以外は心理カウンセラーでなくてもいい」という風潮の方が強いかと思いますが、せめて自分にとって大切な人が悲しみのプロセスにいたら、カウンセリング・マインドを持って話を聞いてあげれば良いのではないかと思います。

 

悲しみのプロセスにいる人にとって、一緒になって落ち込まれたり(※)、励まされたりすることが何よりも毒だと思います。

※一緒になって落ち込まれると、ますます悲しくなるのです。これを「圧力釜効果」といいます。

 

そんな中、カウンセリング・マインドを持って傾聴してくれる人の存在は、その人にとってどんなに助けになるか、計り知れません。

 

 

まとめ

以上、悲しみの対処法について解説しました。

 

今まで解説した怒りや不安と異なり、どうしても対処に時間がかかるのが悲しみの特徴です。

 

悲しみを処理する過程では、様々な感情が出てきます。

そのことは至って普通のことですので、どの感情も否定する必要はないでしょう。

 

しかし、そういった場合でも「本質的な感情は悲しみなんだ」ということは忘れずに居て欲しいと思います。

 

悲しみをプロセスを減ると、自然と悲しみは癒されていきます。

癒されることと忘れることはまた別のことであり、単に相手との関係性を再構築しただけです。

自分と相手を尊重するからこそできる行為です。

 

このブログの読者である皆様には、悲しみのプロセスの渦中にいる人が身近にいたら、是非普段の仕事で使っている心理カウンセラーとしての力を貸して上げて欲しいと思います。