心理職でもできる資産形成と運用

心理職でもできる資産形成と運用

FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

イライラしたときに思い出して欲しいこころの習慣

あームカつくーーー!なんであんなこと言われなきゃいけないの!?

 

ど、どうしたの?

 

さっき見ず知らずの人にぶつかられたんです。向こうからぶつかってきたくせに「気をつけろ!」って怒鳴られて…

 

それは災難だったね。怖かったんじゃない?

 

はい、恐かったです…。
でもそれ以上に腹立たしくて。あんなどうでもいい人のことでいつまでもイライラしてるなんて、大人気ないですよね。心理カウンセラー失格ですよね。。。

 

僕はそんな風には思わないけど、そう思うくらい悔しいし腹立たしかったよね。
でも、少なくともイライラすることは何にも大人気ない事ではないし、ましてや心理カウンセラー失格だなんてことはないから安心して欲しいなとは思っているよ。

 

 

怒りを感じることは不快

ココロちゃん、災難でしたね。

 

ちょっとここで、「怒り」という感情について、一度考えてみましょう。

 

ココロちゃんは先ほど、「あんなどうでもいい人のことでいつまでもイライラしてるなんて、大人気ない」と言っていましたね。

 

こんな感じで、つい僕たちは怒りという感情を感じることを「大人気ない」と評価したり、「心が狭い」と捉えたりしてしまいがちです。

そんな自分に自己嫌悪感も感じることもしばしばです。

 

怒りを感じている間は、全く幸せではありませんし、楽しくもありませんしね。

 

怒ってばかりいる人のことを、人はよく思いませんので「自分はそうなりたくない」と強く否定したりもします。

 

ざっと考えただけでも、「怒り」に対してこれだけ否定的な意見挙げることができます。

 

多くの人にとって、「怒り」とはなくしてしまいたいものの1つではないでしょうか?

 

 

怒りをなくすためにやりがちなこと

怒りは不快なのでなくしてしまいたいと思うことでしょう。

 

怒りをなくすために行う行動の1つが、怒りを「抑える」という方法です。

我慢したり、怒りを感じていないふりをしたりというのがそれです。

 

しかし、この方法で上手く行くことはほとんどありません。なぜなら、怒りは依然としてまだあり続けるからです。

怒りがあるのに、あたかもないかのように振る舞おうとすると、必ずどこかにそのひずみが生じます。

身体を壊したり、対人関係が乏しくなったり。これは、場合によっては怒りを感じるよりも大きな損失を被る危険性さえあります。

 

 

ではどうしたら良いのでしょうか?

 

 

怒りは何かが起きていることを教えてくれるサイン

まず大切なことは、「怒り」という感情は「何か困ったことが起きているということを知らせてくれるサインである」ということを大前提に考えることです。

 

もし、怒りを無視してしまったら?と、逆のことを考えてみると、この大前提の重要性がよりはっきりしてくるかも知れません。

 

もし理不尽な暴力を受けても怒りを感じなかったら?

身体は傷ついて深刻な後遺症を残すかもしれません。

 

もし罵倒され続けても怒りを感じなかったら?

精神的にまいってしまい、うつ病などという結果に繋がるかもしれません。

 

もし犯罪行為をくり返す人が身近にいても怒りを感じなかったら?

その犯罪の片棒を担がされて加害者になってしまうかもしれません。

 

怒りがあることで、「これは酷いことである」「許されないことである」ということにより素早く気づけるようになるのです。

 

 

それに気づければ、そこから自分の身(この場合、身体だけではなくて心も含む)を守るためにやれることをやれる可能性が高まるでしょう。

 

 

でも、酷いことや許されないことをしてきているのは相手なんですから、相手が謝るのが筋だと思うんです。どうして嫌な思いをしている私が対処しなきゃいけないのか、納得できません。

 

ココロちゃんの言うことは最もでしょう。 

納得できなさを感じるのも無理もない話だと思います。

 

しかし、相手が僕たちに何かしてくれるとは限りません。それなのに相手からの謝罪を待ち続けることは、「いつまで不快な感情でいたら良いか」を相手に委ねてしまっているということをも意味します。

 

相手が謝ってくれるに越したことはない、というのも分かるんだけどね…。難しいね。

 

 

そんなときに試してみたいこと

確かにそうなんです。相手が悪いんだから、相手に謝ってもらいたい。謝ってくれさえすればイライラも減っていくかも知れない。

 

けど、同時に、自分がイライラし続けるか否かを相手の行動に委ねてしまっているということも分かりますよね。

 

なので、まずは自分が自分に対してできることを考えていく方が、トータルで物事を考えた場合、怒りの被害を最小限に抑えることができます。

 

まず1つ試してもらいたいことは、「同じ立場に立たされた親友がいたら、どんな優しい言葉をかけてあげるだろうか」ということを想像してみることです。

 

ココロちゃんだったら、なんて声をかけてあげたい。

 

そうですね。「そりゃイライラするよね。もう大丈夫だからね」とかでしょうか?

 

「イライラするなんて大人気ない」とは言わないよね。

 

もちろんそうですよ!

 

 

そうなんです。

 

どういうわけか、僕たちは自分のことになるととても厳しい評価者になってしまいがちなんです。親友になら絶対に言わない様な言葉を自分になら浴びせてしまうんです。

 

なので、意識的に「親友にならどんな言葉をかけてあげるかな?」ということを考えて、その言葉を自分にも聞かせてあげるということをしてあげたいと思います。

 

 

うーん、確かに自分のことを客観的に見てみたら、あれはイライラしても仕方が無い状況だったと思います。まだイライラはしてますけど、さっきよりは落ち着いて来たように思います。

 

 

怒りの目的

ココロちゃんが少しでも落ち着いていったのなら、とても良かったですね。

 

さて、そもそもどうして僕たちは怒りという感情を抱くのでしょうか?

感情には必ず意味があります。

 

怒りの場合、「傷ついたからその状況を何とかしないといけない」ということが起きていることのサインですから、その状況に対して何か手を打つためのエネルギーが必要です。

このエネルギーこそが「怒り」なのです。

 

怒りに対して対処するには、そのエネルギーが必要ない状態にする必要があります

依然として状況が改善されていないのに、あたかも怒りを感じていないかのように我慢すれば、エネルギーは滞留し続けてしまうことでしょう。

 

問題は、怒りを感じることではなく、エネルギーを使わざるをえないその状況にあるのです。

 

ここで、以前にも紹介したこちらの本を参考にしてみましょう。

 

 

こちらの本には、怒りを感じざるを得ない状況として主なものとして4つを挙げています。

 

①予定狂い、②心の傷、③我慢、④苦手の4つです。

 

は「こうなるはずだった」という予定が狂わされるもの、

は「また同じ目に遭った」と、今の傷つきと過去の傷つきがミックスされるもの、

は「自分は我慢していることなのに」ということを相手が何の我慢もなく平気でそれをすることに対する理不尽さに起因するもの、

はなんだか苦手だなと思っていること(太りたくないな、と思っている時に「太った?」と言われる)が影響しているものです。

 

怒りが生じる状況のうち、以上の4つのどれかを把握することができると、その後の対応が変わってきます。

この4つを改善させる工夫をすれば、怒りは自ずと治まってくることでしょう。

 

 

先ほどのココロちゃんのケースでは、

 

「普通に立っていれば、皆が避けてくれる物だと思っていた」という予定が狂ったことに対する怒りだったかも知れないし、

 

過去にも同じような目に遭って辛い思いをしたことを知らず知らず思い出していたのか知れません。

 

うーん、確かに言われてみれば②は多少あったかも知れません。

 

 

相手との関係性に応じてどう怒りを対処するかも重要

怒りというエネルギーを生み出さない状況作りを行うことがより建設的に怒りを鎮める方法となります。

 

では、どういう時に、どのように、その状況を作っていけば良いのでしょうか?

 

その方法の1つは、「相手との関係性を考える」ということです。

 

もし相手との関係をこれからも維持し続けたい、と思うのであれば、上記した4つの内のどれが起因して怒りが生じているかを見定め、そのことを相手にも分かるように伝えることが求められてくるかもしれません。

 

例えば、恋人とデートの約束をしていたにもかかわらず、その恋人が悪びれる様子もなく接して来た、というシチュエーションで考えてみましょう。

このシチュエーションは①に該当することとします。つまり、時間が狂ってしまい、行きたかったところ、連れて行きたかったところに行けなくなってしまった、という状況です。

 

きっとこの状況であれば、恋人の態度に「怒り」の感情を持つのではないかな?

 

そう思います。

 

仮にそうだとしても、ちっとも不思議ではありません。僕やココロちゃんの心が狭い分けではないでしょう。

このような状況であれば、誰しもが「怒り」の感情を持つ可能性は十分にありえますよね。

 

ココロちゃんだったら、こんな時どんなことを言いたくなると想像する?

 

うーん、「遅れてきておいて、なんなのその態度は?」とつい言いたくもなるかもしれません。

 

僕も同じようなことを言いたくなると思います。

しかし、今回考えたいのは、どうこの状況を改善するか、です。

「遅れてきておいて、なんなのその態度は?」ということを伝えても、怒りを抱えざるを得ない状況はかわりません。

 

そもそも「遅れてきておいて、なんなのその態度は?」ということが本当に伝えたかったことなのでしょうか?

本当に恋人がその態度をとる理由を知りたかったのでしょうか?

そんなことを聞いて、ギクシャクした気持ちのままデートをしたいと望んでいたのでしょうか?

 

多分違いますよね。

 

予定狂いによって「怒り」を感じているけど、相手はそれに気づいていないという状況から

予定狂いによって「怒り」を感じているし、そのことを相手も知っているという状況に改善したいだけですよね。

 

怒りを怒りのまま伝えてしまうと、人間関係が壊れてしまうリスクが高まってしまいます。

ですから、そのリスクを最小限に留めるために、予定が狂ったことの困惑した気持ちを伝えるように工夫するのです。

 

では、それを考えてみましょう。「自分は何にそんなに〈困っていたのか〉」という観点から考えてみるのです。

 

 

どうでしょうか?

 

一例を挙げてみます。こんな感じになるかも知れません。

 

「1時間も待ってたのにそれに対して無反応だと、流石に辛いし行きたいところにも行けなくて残念だよ。事故にでもあってたのかと心配もしたし。せめてそういうときは連絡くれるとありがたいな」

 

このような伝え方であれば、予定が狂ったことを相手も知ることができるし、こちらが相手にして欲しいことも明確に伝わります。

 

もし、このような伝え方をいくらしても相手に伝わらないのであれば、それはもう相手の問題だし、相手のとの距離感を考え治す必要があるかも知れません。

 

 

関係を維持したいわけでもない相手に対しては

上記は、今後も付き合いたいと思える相手に対しての考えでした。

 

でも、人間関係は必ずしもそういう関係の人達ばかりではないですよね。

 

今回ココロちゃんが遭った被害の加害者は、ココロちゃんにとっては今後関わりは基本的に一切ないような人でしょう。

そんな人に上記のような工夫をして心を砕く必要はないですし、そもそももう会うこともないのでコミュニケーションすら成立しないでしょう。

 

では、こんな人との関係ではどうしたら良いのでしょうか?

 

1つは、「思い切って相手のせいにして割り切ってしまう」ということです。

ポイントは、「割り切ってしまう」ということで、相手のせいにしたらもうそのことには深入りしないことです。

 

 

ある番組で明石家さんまさんがこんな事を言っていました。

「何やねんこいつ?」って思うことあるけど、すぐ「こいつアホやねんな」と思う。
やっぱり、(人に)腹立たす奴ってアホやわ。総合的に考えて。うん、人を怒らせる奴ってアホ。

 

こんな感じで相手のせいにしてしまって流してしまうのも1つかなと思います。

 

こんな言葉遣い、本来よくないかもしれないけど…、ココロちゃんにぶつかっておいて怒鳴りつけてくるような奴は間違いなくアホだと思うよ。その行為が相手に不快感を与えるって知らないんだから、総合的に考えてアホ。

 

ホントですね。そう考えたらそんな人のために悩む時間がもったいなく感じてきました。(笑)

 

 

おまけ

ココロちゃんが最後には笑ってくれるまでになって、本当によかったです。

 

さて、最後にちょっとしたおまけ的な情報をお話ししたいと思います。

 

それは「鏡を見る」という方法です。

人は基本的に、意識的にせよ無意識的にせよ「こうありたい自分」のイメージがあります。

鏡を見ると、否応なしに「今の自分が、〈こうありたい自分〉に近いかどうか」を思い知らされます。

このような状態を心理学では「自覚状態」と呼んでいるのでしたよね。

 

「絶えずイライラして周りに気を遣われながら生きていきたい」という希有な人であれば別ですが、ほとんどの人はそんな風には思っていないでしょうから、鏡を見ることで「今の自分」が理想とはかけ離れていることを自覚させられるでしょう。

 

すると人は理想に近づこうと動機づけられますので、怒りも静まっていきます。

 

 

まとめ

怒りを感じるのはごくごく普通のこと。大人気ないわけではない。

どうしても大人気ないと思うなら、同じ立場に立たされた親友にならどんな声をかけるかを想像してみるのも手。

怒りを我慢するよりも、何が自分に起きているのかを考える方が建設的。

①予定狂い、②心の傷、③我慢、④苦手の4つを解消すれば、怒りというエネルギーが必要ない状況になりやすい。

人を怒らせるような人は、総合的に考えてアホ。

鏡を見るのも効果的。