心理職でもできる資産形成と運用

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FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

不安の種類は大きく4つ! それぞれのタイプの不安に適した効果的な対処法

Anxiety, Fear, Stress, Emotion, Wooden 

リヒト(@r2209)です。
以前、アンガーマネジメントに関する記事を書いたらちょっと好評だったので、今回も感情への効果的な対処法についてまとめたいと思います。

 

今回も怒りに関してですか?

 

いや、今回は不安についてまとめたいと思っているよ。不安も容易に怒り変換されてしまう感情なので、不安への対処法を知ると、怒りの対処法にも繋がると思う。

 

 

感情には必ず理由がある

 以前、怒りの感情を対処する方法についてまとめました。

 

こちらの記事で指摘したことは、「怒り」という感情は「何か困ったことが起きているということを知らせてくれるサインである」ということでした。 

 

感情が何かを示すサインであることは、何も怒りの感情だけに言えることではなく、実は全ての感情についても言えます。

 

当然、不安にも意味があるのです。

 

 

では、不安の意味するものとはなんでしょうか?

 

不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれていると考えると良いかと思います。

 

そんなの当たり前だ!と思われるかもしれません。

しかし、このことをおさえておかないと、いたずらに不安がることとなり、そこから抜け出すことができなくなる可能性があります。

ですので、この点をしっかりと認識しておくことが重要です。

 

 

不安には4種類ある

今回は、水島広子先生が書かれた大人のための「困った感情」のトリセツを参考にしつつ、僕なりの解釈を加えて不安への対処法についてまとめていきたいと思います。

 

さて、まずは僕のオリジナルの考えからご紹介したいのですが、それは、上述した不安のサインをまずはしっかりと認識して頂いた上で、「不安には4種類ある」と考える方法です。

 

下記のマトリックスを元に考えると整理しやすいかと思います。

         
    コントール  
    可能 不可能  
対人関係 あり

自分のこと
心の矢印を相手に向ける

相手のこと
逃げる

 
なし

アセスメントする

感じるしかない

 
         

 

このように、不安には「対人関係に関するものか」という軸と、「コントロール可能か」という軸の二つの軸で4つに分類することができるのです。

 

これらのうち、自分が今感じている不安がどれに該当するのかによって、とるべき対処方法も変わってきます。

 

以下、それぞれの不安の特徴と対処法について解説していきたいと思います。

 

 

対人関係が関与し、自分で何とか出来る不安

まずは、「対人関係が関与し、自分で何とか出来る不安」についてです。

これは上記の表の①です。

 

具体例を挙げながら説明した方が分かりやすいでしょう。

例えば、こんな状況をイメージしてください。

 

明日のプレゼンで成功させ、上司から良い評価を受けなければならない

\ 

 

プレゼンをするという行為は、必ず聞き手がいるわけですから、対人関係が関わる状況です。

かつ、プレゼンをする人は自分(あなた)ですから、コントロール可能です。

 

ですから、上記は①に該当します。

 

え?上司からの評価はコントールできませんよね?

 

 

いいところに気づきましたね。

 

対人関係が関わる不安は、必ず何らかの形で相手方がいます。

この時の原則としてとても重要なことは、「相手方のことはコントロールできない」ということです。

 

ここって、実はとっても大切なところです。

 

人が不安になるとき、コントロール出来ないことをついコントロールするために躍起になることから生じたりもしているのです。

 

ですから、対人関係が関わる不安に見舞われたときは、「この状況でコントロールできるのは自分の行動と心持ちだけ」としっかりと改めて考え治すことです。

 

コントロール出来ない相手方についての不安にはどう対処するのか、は次のテーマになりますのでちょっと待っててくださいね。

 

さて、対人関係が関与していることと自分の行動と心持ちだけがコントロール出来る事柄であることに目を向けられたら、いよいよその状況から来る不安をどう対処したらいいかの検討に入りましょう。

 

とはいえ、対人関係が関与していることと自分の行動と心持ちだけがコントロール出来る事柄であることに目を向けられた段階で、もうすでにやるべき事が見えてきているのではないでしょうか?

 

そうです。

人はコントロール出来ないことをついコントロールするために躍起になるから不安になるのでしたね?

だったらそんなコントロール出来ないことは一切考えないようにし、自分でコントロールできることだけに集中すればいい、ということになります。

 

そうしたら自ずと不安は減っていくのです。

 

それができないから困ってるんじゃないですか〜

 

いや、多分出来ないのでは無く、やり方を知らないのだと思います。

やり方さえ分かってしまえば、非常に簡単ですよ。

 

そのやり方は、「相手の興味関心に興味を持つ」ということです。

先述例に挙げた状況は、「プレゼンで成功させ、上司から良い評価を受ける」というものでした。

 

この時コントロール出来るのは、プレゼンを自分なりに上手くやる事だけです。

では、「上手くやる」とは具体的にどういう状態でしょうか?

 

上司から良い評価を受けること?いえいえ、上司からの評価はこちらではコントロールできません。

 

出来るのは、「相手が何に関心があるのかを推察し、それを相手に分かるように伝える」ということです。

ここを意識していれば「今までの説明で何か疑問に思うことはありませんでしたか?」というような質問が自ずと出てくると思います。

 

相手からの評価を気にして自分のことばかりしか考えられないと、こんな質問は決して出てきません。

 

自分のことばかりしか考えられない状態を、僕は「心の矢印が自分に向いている」と呼んでいます。

 

図にしてみると分かりやすいでしょうか?

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矢印の向きに注目してください。

本来、相手がどう自分を評価しているかなんて絶対分からないのです。

それなのに、相手から自分に向かう矢印を作り出してしまっています。

 

こういう虚構、分からないことを作り上げると、人は不安になるのです。

不安は常に「未知の体験」に関する感情だからです。

 

 

こういったときは、是非矢印の方向を相手に向け直すことを意識し、「既知の体験」にしてしまいましょう!

 

相手が過去に言っていたことは既に知っていることですので、それを思い出せたら既知の体験になります。

そういったことを仮に知らなかったしても、先述したように「何か疑問に思うことはありませんでしたか?」という質問をして、相手の分からないことを知ってしまうようにすれば既知の体験になります。

 

こちらも図にしてみました。

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こちらは心の矢印が相手に向いています。自分にコントロール出来る事だけに集中出来ている状態ですね!

 

 

対人関係が関与し、自分では何もできない不安

続いては、同じ対人関係が関与する状況でも、自分には何もできない時に感じる不安についての対処法です。

 

上記の表でいうと、②に該当する個所です。

 

この場合は、やれることは一つだけです。

 

ずばり、「逃げる」。

 

これしかありません。

 

だって、相手のことはいくら頑張ってもコントロールできないのだから。

①のパターンでまずは自分のことに集中してみて、それでも状況が改善しない場合、もうそれは明らかに相手に問題があります。

 

相手の問題は相手のものですから、相手にしかどうすることも出来ません

残念ですが、その人とは距離をとった方がイイでしょう。そのことに罪悪感を感じる必要はありません。

 

例えば

 

いくら丁寧に対応し、不快な気持ちも相手への尊厳を持って伝えたが、しつこくSNSで連絡を取ってくる 

 

というような人がいたら、そっとブロックしましょう。

それでも相手の暴走が止まらない場合は、法的処置も検討する必要があるかも知れません。

 

 

対人関係が関与せず、コントロール可能なときの不安

続いては、対人関係は関与せず、状況をコントロール出来るときに感じる不安への対処法です。

 

上記の表の③に該当します。

 

この場合は、「アセスメントをする」が有効かと思います。

繰り返すように、不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれている感情です。

 

とするなら、この不安を和らげたいと思う場合は安心を確保し、既知の体験にしてあげれば良いわけです。

 

これがここで言うアセスメントです。

 

例えば、

 

将来年金がいくらもらえるのか不安だ

 

と言う状況を考えてみましょう。

確かに、年金がもらえないのは安全なことではありませんし、まだ支給前だとすると未知の体験です。

 

ただ、この手の不安は、別に年金が支給される年齢になるまで解消されないというものではありません。

 

いくらもらえるのか、ちゃんと調べることができるのです。

www.nenkin.go.jp

 

登録は必要ですが、将来いくら年金が支給できるか簡単に試算することができます。

 

人の意見に流されて、自分の頭で考えず「知らない」という状況のまま留まっているといつまでたっても不安は消えません。

不安と言うのは、頭に中にあると際限なく膨らんでいく性質があります。

 

ですから、しっかりと自分の頭で考え、アセスメントし、外在化することで、不安を等身大の大きさへ縮小させていくことが必要なのです。

 

 

対人関係が関与せず、コントロールが不可能なときの不安

最後は、対人関係は関与せず、コントロールができない時に感じた不安への対処法です。

 

表の④に該当する個所です。

 

この手の不安はもやは「感じるしかない」不安です。 

 

ほとんどの場合、感じるしかない不安は感じ続けることが可能です。

もしそれにもかかわらず、いてもたってもいられないほどの不安がある場合、考えられる可能性は大きく分けて二つです。

 

一つは不安障害に罹患している可能性です。

一応、このブログは心理カウンセラーの方々を主な読者として想定しているので、不安障害への対処法は割愛します。

 

 

二つ目の可能性は「不安を感じる=弱い」という風に捉えてしまっている、です。

もしそうなら、その考えは勘違いですので安心して捨ててください

 

くどいようですが、不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれているのです。

こんな状況で能天気に過ごせる方がおかしいのです。

 

不安になるのは人として当然なのに、そこに「人として弱い」という価値判断を加えても意味がありません。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

 

今回は水島広子先生が書かれた大人のための「困った感情」のトリセツを参考にしつつも、オリジナルな知見から不安の対処法についてまとめました。

 

不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれているということを前提に「4種類ある」と考えると、対処しやすいと思います。

 

その4種類とは、

対人関係が関与し、自分で何とか出来る不安

対人関係が関与し、自分では何もできない不安

対人関係が関与せず、コントロール可能なときの不安

対人関係が関与せず、コントロールが不可能なときの不安

 

 

です。

それぞれへの対処法として、ここでは

は、心の矢印を相手に向け、自分がコントロール出来ることに集中する

は、相手の問題なので、改善しない時は逃げる

は、アセスメント(情報収集)して、未知の体験を既知の体験にする

は、感じ続けるしかない。そこに「弱い」などという価値判断を挟まない

 

を挙げました。

 

ちなみにですが、①の不安への対策をご説明するとき「心の矢印が相手に向く」と不安になるとお伝えしました。

ここは怒りとも共通する特徴です。

 

不安という感情は抱えておくのがとてもしんどい感情です。

ですので、抱え続けると精神的に余裕がなくなります。

すると、心の矢印を自分に向けるのにエネルギーを使うことが出来なくなり、つい相手にその矢印を向けてしまいます。相手に心の矢印を向ける方が楽だからです。

 

この時、精神的に余裕が更に無くなると、人はその余裕のなさにイライラしてきます。

 

このようにして、最初は不安だった感情は怒りへと変換されてしまうのです。

ですから、日頃から心の矢印を自分に向けることを心がけ、不必要な不安を感じなくするトレーニングをしておくとよいでしょう。

 

 

以上、不安への対処法について解説しました。 

何か参考になれば幸いです。今後、他の困った感情のトリセツも解説していくかも知れませんので、宜しくお願い致します!