【労働時間】36協定と残業の関係を知ろう
リヒト(@r2209)です。
今回は労働基準法についてお話しようと思います。
労働基準法は働いている皆にとってとても重要性の高い法律ですので、基本的なことはおさえておいて損は無いですよ。
中でも、今回は労働時間について検討していきたいと思います。
所定労働時間と法定労働時間
労働者は、自分たちに与えられた24時間という時間を切り売りして給料を得ています。
そのため、労働者にとって「時間」はとても大切なものです。
時間を非効率的に使うということは、その分仕事量も落ち込むということであり、当然給料も上がらないということになるからです。
あるいは、適正な時間以上に働かされ、それなのにそれが給料に反映していないということもあります。ゆえに、給料に対して働いている時間が適切かどうかを知る上でも、自分の労働における時間単価を考えることも大切なこととなってきます。
労働者には、時間について真剣に考える必要性があるのです。
ところで、労働時間には所定労働時間と法定労働時間があることはご存知ですか?
この二つの違いを知らないと、(出来れば避けたい)残業のこともわかりませんので、しっかりとおさえておきましょう。
まず、所定労働時間ですが、こちらは就業規則等に定める労働時間のことをいいます。
要は、皆さんが勤めている企業で実際に勤めている時間のことを言います。この所定労働時間は、事業所をまたいで通算されます。
二カ所で非常勤している場合で考えてみましょう。
もし一カ所で週30時間働き、もう一カ所で10時間働いていたとしたら、所定労働時間は40時間ということになります。
一方、法定労働時間とは、法律的に「働いても良い」と規定された時間のことを言います。
法定労働時間が何時間かというと、「1日8時間、週40時間」です。
この時間を超えたときに、「時間外労働」と呼ばれます。
この時間外労働のことを「残業」と思っている人がいますが、正確には異なるものですので、しっかりと違いをおさえていきましょう。
残業には実は二種類あります
では、どう異なるのでしょうか?一つずつ確認していきましょう!
先ほど所定労働時間と法定労働時間について簡単にご説明しました。
時間外労働と残業の違いにこの二つの時間の考え方が関わってきます。
実は俗にいう「残業」には、法内残業と呼ばれるものと、時間外労働の二種類があるのです。
法内残業とは、どんなものかというと、所定労働時間を超えて法定労働時間内に収まる範囲で残業する場合のことを指します。
この法内残業はまったく違法性がありません。
一方、法定労働時間を超えて行った残業のことを、時間外労働と言います。
細かいことですが、このように残業には、「法内残業」と「時間外労働」の二種類があるのです。
次に労働者にとって非常に重要となる36協定についてお話しますが、この二種類の残業があることを知らないと36協定も理解できないので、しっかりと把握しておいてくださいね。
36協定も、僕たち労働者の時間単価を考える上で知っておくべき基本的な労働基準法の制度です。
36協定とは
36協定についてごく簡単に定義すると、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた残業を可能とするための会社と従業員との間での協定のことです。
どうして36(サブロク)協定と呼ばれるのかというと、労働基準法の36条に記載があるからです。
正式名称は「時間外・休日労働に関する協定届」と言います。
この協定は、ただ会社と従業員間で同意があるだけでは効力は発揮せず、労働基準監督署に届けなければいけません。
届出をしないで法定労働時間以上の労働や、法定休日外の労働をさせると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる労働基準法違反となります。
この協定が結ばれているかどうかは、就業規則や雇用契約書を見ることでわかります。
もし就業規則がないような事業所であっても(就業規則は9人以下の従業員しかいない場合は作成する必要がない)、職場の壁に貼ったり、休憩室に置くなどして従業員が誰でも確認できるように周知されている必要があります。
そうだったんですね!今度就業規則を確認してみます!
もし、残業(時間外労働)が多く、その割に給料が少ないなーと思うようなことがあれば、是非就業規則等を確認してみてください。
時間外労働の限度基準
36協定を結んだからといって、何時間でも残業をしていいというわけではありません。
決められた上限があります。
表にするとわかりやすいと思いますので、下記します。
期間 | 限度時間 |
1週間 | 15時間 |
2週間 | 27時間 |
4週間 | 43時間 |
1ヵ月 | 45時間 |
2ヵ月 | 81時間 |
3ヵ月 | 120時間 |
1年 | 360時間 |
この表をみてもらえばお分かりのように、36協定が締結されている場合でも、週15時間・月45時間を超える残業時間は「違法」となります!
※「特別条項付き36協定」を締結すれば、上記の残業時間の上限を延長することはできます。
また、36協定があったとしても「週15時間・月45時間」を超えた残業時間が日常的にある場合、違法となる可能性は高くなります。
残業による割増賃金
36協定を締結していたとしても、残業は残業であることには変わりありません。36協定は、あくまでも違法性なく残業してもいいという取り決めに過ぎません。
残業した分は、割増された賃金を払ってもらう権利が生まれます。これを割増賃金といいます。
割増賃金は、その対象となる労働によって割合が変わります。こちらも表を使った方がわかりやすいでしょう。
割増賃金の対象となる労働 | 割増率 | |
時間外労働 | 時間外:月60時間以下 | 25%以上 |
時間外:月60時間超え | 50%以上 | |
休日労働 | 35%以上 | |
深夜業 | 25%以上 |
これらは組み合わせで考えられます。
例えば、月に60時間以上の残業を深夜(午後10時から午前5時まで)に行ったとしたら、75%(50%+25%)以上の割増賃金となります。
最初に「所定労働時間は、事業所をまたいで通算されます」と述べましたが、法定労働時間も同様です。
割増賃金は「後から労働契約を締結した会社側」が払うことになります。
割増賃金を受け取るのは労働者の権利ですのでしっかりと請求しましょう!
こちらのTwitterがわかりやすいマンガを添付してくれています。
ダブルワークしている人は二つ目の仕事の時給は割増でもらえるよ😃
— プロの話聞き屋🇧🇴 桜井🌺 (@sakurai7715) April 12, 2017
A社で8-17時で8時間勤務
B社で18-21時までの3時間を時給1000円で契約してるならこの3時間は割増となりB社では時給1250円払わなければいけない
俺はダブルワークしてた時は請求して割増賃金をもらってたよ😚 pic.twitter.com/K0Nd4WZzk6
もし違法な残業をさせられたら
やることはやはり証拠を集めることです。
まずは労働条件を証明する証拠を確保します。雇用契約書や就業規則、給与明細が証拠になります。
次は残業時間を証明する証拠です。交通ICカードやPCのログ、手書きの日記なども証拠になります。
そういった証拠が揃ったら、労働基準監督署へ相談に行きましょう。
心理カウンセラーは時間の枠をしっかり明確にする仕事が多いですので(カウンセリング一回に使う時間は毎回50分で固定。それ以上にも以下にもしない、など)、残業の命令を受けることはあまり無いかも知れません。
しかし、非常勤掛け持ちで働いている方は多いでしょうから、割増賃金についてはしっかりと把握してくださいね。
もし、色んな策をうっても解決せず、嫌気がさしてその職場から離れたいと思ったら、最終手段として退職もやむを得ないでしょう。
最近は、円滑な退職をサポートしてくれる業者もあるようです。
僕の友人も、なかなか辞めさせてもらえず仕方がなく退職代行サービスを利用したことがあります。
その結果、比較的すんなりと退職でき、ストレスもなくなったとのことでした。
今はエネルギー開発の仕事につき、数億円を動かす男になっています…。傍目にも活き活きしているのが分かりますし、彼の場合は辞めて正解でしたね!
上記のようなサービスを利用するのも手です。
もし本当にお困りなら、一度メールで相談するだけでもしてみると良いかと思います。