心理職でもできる資産形成と運用

心理職でもできる資産形成と運用

FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

投資初心者にオススメの投資信託!一回やれば後はほっとくだけで超手軽!

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リヒト(@r2209)です。
今日は改めて、投資信託についてお話ししていきたいと思います。

 

なんだかんだ言って、投資はハードル高いですからね。

 

そうだよね。なので、できるだけ分かりやすく解説して、投資への抵抗感を減らしていってもらえたら嬉しく思うよ。

 

 

そもそも投資信託って?

このブログでは、投資のお話を何度かしてきました。

株式投資や不動産投資、そして今日お話しようとしている投資信託もそうです。

 

今回は、改めて初心者にも安心してお勧めできる投資信託について解説していきたいと思います。

 

 

まずは投資信託をおさらいしましょう。

 

投資信託とは、その名の通り、信じて託す投資手法です。

誰を信じるかと言うと、投資のプロをです。

 

投資信託では、僕たち投資家から集めたお金を投資のプロが僕たちに代わって運用してくれるのです。

 

図にするとこんな感じです。以前お借りした、投資信託協会からの図をここでも引用します。

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そもそも投資信託とは? - 投資信託協会から引用させていただきました。

 

 

投資信託株式投資と比較して解説!

投資信託の話は、株式投資と比較すると分かりやすいと思います。 

そのために、まずは株式投資とはなんぞや、ということについてお話ししますね。

 

 

株式投資は、ある意味一番分かりやすい投資手法だと思います。

株式投資のイメージは以下のようなものです。

 

投資家が「これだ!」と決めた会社の株を購入することで、その会社に資金を提供します。

会社はそのお金を使って事業を進めていきます。この際、もしその事業で成功し、利益が上がったら、その利益の一部を資金を提供してくれた投資家へ配当金として還元することになります。

 

この配当金が出ることを期待して、企業に投資する。これが株式投資の大枠のイメージです。

 

株の値段は、その会社によって変わります。また、日本の場合は、100株が一単位になっていることがほとんどです。

 

 

以上から分かる株式投資の特徴は次のようなものです。

自分で株を買う。

配当が出るかはその会社単体の業績次第。

配当金を受け取れる。

100株単位なので、まとまったお金が必要。

 

さて、今度は以上の特徴と投資信託との特徴を比較してみましょう。

 

「自分で株を買う」との比較

まず「自分で株を買う」と投資信託との比較ですが、投資信託の場合は先述の通り、プロにお任せします。

銀行や証券会社にいって、「投資信託を始めたいんですけど」と頼めば、後は勝手に全てやってくれます。(ネット証券でやった方がイイ、という議論は一旦ここでは置いておきます)

 

とはいえ、もちろんただでやってくれる訳ではありません。

購入時手数料、信託報酬等の諸々の手数料がかかってきます。

 

「配当が出るかはその会社単体の業績次第」との比較

続いて、「配当が出るかはその会社単体の業績次第」との比較です。

投資信託では、投資のプロが選定した複数の投資先(資産クラス)に僕たちのお金を投資するものもあります。

つまり、自国の株式会社への投資ももちろんですが、海外の株式会社、債券、不動産など、色んなところにお金を回しているのです。

 

しかも、仮に株式にだけ投資しているものでも、1社だけではなく複数の株式に投資します。

 

ですので、株式投資と違い、もし一つの資産クラス、あるいは一つの会社等で投資がうまくいかなくても、他の資産クラスや他の会社で投資がうまくいく可能性が高いので、トータルリスクを低く抑えることが出来るのです。

 

「配当金を受け取れる」との比較

「配当金を受け取れる」についても見ていきましょう。

これについては、メリットにもデメリットにもなります。

 

誰だって、自分が何もしていないのにお金が自分の手元に入ってきたら嬉しいですよね。

 

でも、投資信託の場合、これがありません。

 

「儲からない」ということではなく、配当金が出たら、プロの方がその配当金をまた投資の資金に使ってくれるからです。

 

ここがメリットにもデメリットにもなります。

 

先にデメリットを話すと、純粋に「つまらない」ということが挙げられるでしょう。

 

お金の流れのことをキャッシュフローと言いますが、例え配当金が出て儲かっていたとしても、自分の手元にそのお金が流れてこないので、儲けが出ていることを実感としてつかみにくいのです。

 

一方、同じことがメリットにもなります。

試しに「おお!今月はこんなに配当金が出たのか!」と感動するようなことがあったという状況を想像してみてください。

 

どうですか?

 

「使いたい!!」

 

と思うのではないでしょうか?

 

そうです。

キャッシュフローがあることはとても「楽しい」のですが、その分誘惑も多く、つい気が大きくなってそのお金を使ってしまいがちになるのです。

 

しかし、よくよく考えればわかることですが、そのお金をさらに投資に回せば、次はより一層大きな配当金となって(あるいは将来、信託を売却したとしたら売却益となって)返ってくるはずなのです。

 

 

試しに簡単なシュミレーションをしてみましょう。

たとえば、10万円を5年間、5%の金利で運用できたとします。

10万円の5%ですから、5,000円ですね。

これが5年間続く訳ですから、25,000円です。

 

まあ、悪くはないでしょう。

 

では、配当金を投資に回した場合、を考えてみましょう。

同じ条件なら、一年目はこちらも5,000円の利益です。

 

でも二年目からは違います。

 

二年目はこの5,000円も元本の10万円に加えるのですから、

10万5,000円の5%ですから、利益は5,250となります。

 

三年目はこの5,250も元本に追加するのですから、11万250円の5%で5,512円です。

 

この調子で5年経過すると、トータルの利益は27,627円となり、最初の例と比較すると2,627円も多く利益を上げたことになります。

 

配当金を再投資しなかった場合を単利、再投資した場合を複利と言います。

 

投資信託は、配当金が入った誘惑にかられることなく、この複利の恩恵に預かれるのです。

 

「100株単位なので、まとまったお金が必要」との比較

さて、最後に「100株単位なので、まとまったお金が必要」と比較しましょう。

 

投資信託は特に株単位で買わなければならないと言うことはありません。

従って、数千円から始めることが出来ます

 

ただ、当たり前の話ですが、投資は元本が大きくないと利益にパワーが出ません。

10万円の5%は5,000円ですが、それが100万円になると同じ5%なら5万円になります。

 

従って、投資信託は少額から始められるのはメリットですが、急に大金持ちになれるというものではありません。

 

 

どんな種類の投資信託を買えば良いのか

1,000円単位から始められ、リスクも少ない。始めるには銀行か証券会社に行けば良い(証券口座を開設すればいい)。

 

かなりお手軽に始められることが分かったので、はじめてみたいと思ってくださった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

もしそうなら、次は「どんなものを買うか」というステージですね。

 

これについても過去に解説しています。それがこちらです。結論は変わりません。

 

インデックスに連動する物(インデックス・ファンド)を購入してください。

 

インデックスとは「指数」のことです。

 

実はインデックスと一言で言っても、いろんな種類があります。

日本で有名なのは日経平均株価でしょう。日経平均株価は日本の代表的な株225社の平均を示した指数です。

 

アメリカだとS&P500というのが有名で、こちらは代表的なアメリカ企業500社の平均です。

 

他にもTOPIXとかニューヨークダウなんかを聞いたことがあるかも知れません。

 

インデックスに連動しているとはつまり、例えば日経平均株価に連動したものだったら日本の225社全てに投資しているというふうに考えてもらえればオッケーです。

 

 

具体的に何を買えば良いのか

投資信託がどんなものか分かった、どんな種類のものを買えば良いかわかった。

 

じゃあ次は、「どのインデックス・ファンドを買えば良いのか」だと思います。

 

今試しに「インデックス・ファンド」と打ち込んでググってみた結果、マネックス証券さんのサイトに一覧があったので引用しておきます。

info.monex.co.jp

 

いやー、めちゃくちゃありますね。

この中でどれが良いのかなんてとても決められそうにないですよね。

 

ここで、オススメをご紹介します。

 

インデックス・ファンドを購入する際は、米国株のインデックス、特にS&P500に連動したファンドを買う、ということがよくお勧めされています。

 

具体的には

楽天全米株式インデックス・ファンド

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

iFree S&P500インデックス

などがお勧めされていることをよく目にします。

 

 

似たような名前ですが、S&P500だけを指数としている訳ではない

楽天全世界株式インデックス・ファンド

eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)

なんかもお勧めされることが多いようです。

 

まあ、アメリカが一番今後も伸びていくだろうと思うなら、S&P500にのみ連動したファンド(前者三つのうちのいずれか、もしくは複数)を、

アメリカだけに賭けるのはリスクが高いと思うなら、全世界の株式に投資できるファンド(後者二つのうちのいずれか、もしくは両方)を購入すればいいかと思います。

 

ただ、上記を見ていただければお分かりのように、今述べたのは全て株式のみなので、不動産や債券等にも分散投資したいと思うのなら「バランス型」と呼ばれるものから選ぶと良いかと思います。

 

さっきのマネックス証券のサイトにあった「たわらノーロード」シリーズでいうと、赤丸で囲んだところがバランス型です。

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つみたてNISAを活用しよう!

今オススメとして挙げた商品はすべてつみたてNISAの対象商品ですので、こちらを利用して購入すべきだと思います。

 

つみたてNISAについては、詳しくはこちらをご覧ください。

 

普通、投資をすると色々と税金がかかってくるのですが、つみたてNISAを利用して投資をすると、その税金が免除されるのです。

 

また、つみたてNISAを利用して購入できる商品は金融庁のお墨付きがついた商品ばかりですので、ぼったくられるリスクがかなり低く抑えられます

 

投資信託はこの記事の最初の方に述べたように、色々とメリットが多かっただけに、余計なコストをかけることで銀行や証券会社が儲かるような作りになっているものも多くあったのです。

 

 

最後にちょっとだけ心理学っぽい話も(笑)

以上、投資信託についてまとめました。

 

リヒトさん

 

ん?

 

このブログ、「心理職でもできる〜」ってタイトルですよね?

 

そうだよ。

 

この記事1個も心理学の話してないじゃないですか!!

 

いやー、あはは。。。

 

じゃあ、少しだけ僕たち心理カウンセラーがどうして投資に手を出しづらいのか、「マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール」という本の中に面白い記述があったのでそれをご紹介しましょう。

 

最近の多くの精神科医や心理学者は、それ(安全)を良いことだと考えている。精神的な健康とは何にも増して穏やかであることを意味しているというのが、近代心理学の前提なのである。

P20

 

ということで、僕たち心理学者は安全志向でリスク回避な人間の集まりなのです。

投資をすることをリスクと考えるなら、安定を志向した行動である「投資しない」をとりがちなのは、一種の職業病と言えそうです。

 

それに輪をかけて、僕たち西洋人は更に投資向けではない宗教観があります(日本人は無宗教の人が多いと言われますが、神学や仏教の影響を全く受けていない人というのは極めてまれです)。 

 

西洋の規律のように神秘的で瞑想的な規律の心酔者は、静寂にさらに踏み込んでいる。彼らは安堵を非常に重視するので、多くの場合、そのかわりに貧困になっても仕方がないとさえ思っている。たとえば、仏教のいくつかの宗派は、人は物欲を持つべきでなく、所有しているものを他人に分け与えるべきだと考える。

P20–21

 

以前Twitterで、

「心理職の経済的処遇について不満を言う人は多いけど、いざ税金対策や資産運用、もっと稼げる話などについては食いつく人はそう多くはない。それは、心理職に清貧の思想がすっかり染みついているからではないか」

というようなことを仰っている方がいましたが、さもありなんという感じですよね。

 

確かに、心理職は資産形成にそんなに興味がないのか、100日以上毎日更新続けているのに、このブログ、全然アクセス集まらない不人気ブログですしね。

 

うるさいよwww不人気で悪かったなwww

 

でも、そんな中、やっぱり一流は違いますね。

フロイトはこんな事を言っていたみたいです。

 

冒険は、人生を生きる価値のあるものにする。そして、冒険したいのであれば自分をリスクにさらすことだ。

P22

 

フロイトはリスクをとることを良しとしていたようです。

 

精神分析家のそこのあなた!つみたてNISAで投資信託初めてみませんか?

 

最後そんなオチなの!?

ファスト&スロー 上・下

 経済学にパラダイムシフトを生じさせた、革命的書

 

僕は心理カウンセラー(臨床心理士公認心理師)でありながら、資産形成のことをこうしてブログで色々と書いています。

「心」と「お金」。一見すると、相反するものに思えます。

「お金じゃ愛は買えない」とはよく言われるもので、まさしくその通りでしょう。

 

しかし、一方、この二つをつなぎ合わせた非常に面白く有益な学問分野があるのです。

それが「行動経済学」という学問です。

 

経済学は本来、人間を「合理的な選択をする存在」と仮定し、その前提の上で理論が構築されてきていました。

 

しかし、人間は実は、それほど合理的な存在ではないのです。

 

例えばちょっと以下の質問に答えてみて下さい。

 

「Xは知的で正義感が強く、大学では法律を専攻していました。スーツがよく似合い、収入もあり、しかし、決して傲慢なところがない紳士です。皆が彼を頼りにします」

 

さて、Xの職業はサラリーマンである可能性と、弁護士である可能性とどちらが高いでしょうか?

 

 

もしかしたら、「弁護士」と直感的に答えた方もおられるのではないでしょうか?

もしそうだとしたら、その判断は合理的ではないかもしれません。

 

確かに、先ほどの記述はいかにも「弁護士」という印象を抱かせるものになっています。

しかし、サラリーマンと弁護士とを比べた時、どちらの人口が多いだろうかという統計事実を踏まえれば、圧倒的にサラリーマンである可能性の方が高いはずです。

 

この例から分かるように、人間は「それっぽさ」などという直感的思考によって意思決定をしてしまうことがあるのです。

この「直感」こそ心理的過程であり、経済学にもこの人間の「心」、バイアスがかかる要因を踏まえて行かなければならないと考えられるようになりました。

 

これこそが「行動経済学」です。

 

 

そういった意味で、心理学もファイナンスも勉強している僕にとって、行動経済学は非常に興味深い学問なのです。

 

実際、今までも行動経済学の本は何冊か読んできました。

 

しかし、行動経済学の礎を築いたといっても過言ではない本書には、まだ手をつけていなかったのです。

 

何故かというと……メチャクチャ分厚いからです!しかも、上下巻!

 

ただ、流石にFPの資格もとってファイナンス系のブログをこうして書くようになったからには、もう避けては通れないだろう、と意を決して読み始めたわけです。

 

 

前置きはこれくらいにして、本書の内容に話を移していきましょう。

 

本書では、直感的な思考をシステム1、慎重な思考をシステム2と命名し、これらのシステムについて解説するとともに、僕たちの意思決定が必ずしも合理的ではないことをしめしています。

本書から、それぞれの定義を引用します。

・「システム1」は自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分お方からコントロールしている感覚は一切ない。

・「システム2」は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い。

P32

 

本書タイトルは「ファスト&スロー」ですが、ファストがシステム1、スローがシステム2を指しています。そして本書がをより多くの光を当てているのが、システム1です。

 

 

システム2には、普段は自動化されているシステム1の動きを調整する能力が備わっています。

この二つのシステムは車の両輪みたいなもので、エネルギー源を共有しています。

 

普段はバランスよくこの二つのシステムが使えるようにエネルギーは分配されていますが、システム2により多くの注意力を遣わないといけないとき、普段は自動化されているシステム1は一旦その機能が停止することがあります。

 

ここがとても面白いところなのですが、とはいえ、言葉で聞かされてもよく分からないと思いますので、体験してみましょう!

 

白チームが何回パスを回したか、正確に数えて下さい。黒チームの回数は無視して下さって結構です。

 

ではどうぞ!

 

www.youtube.com

 

 

どうでした?数えられました?

 

 

 

ただ、実は回数はどうでもいいのです。あることに気づけたかどうかをチェックするのが本当の目的なのです。

 

実はこの動画には、ゴリラの着ぐるみを着た人が横切っていたのですが、気がつきましたか?

 

これだけ目立つ存在であれば、普通ならシステム1が勝手に働いて「ゴリラがいる」と知らせてくれます。

しかし、「白チームのパスの回数を数える」というやや難しい課題をシステム2にお願いしていたので、うまくシステム1が機能しなかったのです。

 

なんと、同様の課題を与えた実験では

延べ数千人の被験者がこれを見たにもかかわらず、約半数が何も異常に気づかなかったのである。

P37

 

普段はシステム1が優性なのですが、ものごとがややこしくなるとシステム2が主導権を握るのです。

 

 システム2はエネルギーをたくさん食う大食漢な存在らしく、平時は省エネに勤める怠け者です。

しかし、一旦忙しくし始めると、ダブルワークが苦手なので、他の作業がお留守になります。

本書には

認知的に忙しい状態では、利己的な選択をしやすく、挑発的な言葉遣いをしやすく、社会的な状況について表面的な判断をしやすいことも確かめられている。

P62

 

 とのことです。

たまにネットやテレビで持論を展開した際に、反対の意見をぶつけられるとヒートアップする人がいますが、その人は認知的に忙しいのでしょう。

 

なお、この手の認知的な作業に必要なエネルギーはスキルの向上とともに減っていくそうです。

普段からしっかりと勉強している人は、システム2にそこまでエネルギーを使わずに物事を判断することが出来るので、ちょっとした反対意見にも余裕を持って対応できる、ということです。

ヒートアップしている人は、底が浅い可能性が高いので、何かを追求して質問しても建設的な答えは返ってこないと思います。そっとしておくのがよいでしょう。本人もそのことには気づいていないので。

 

 

行動経済学との絡みでいうと、第2部の「ヒューリスティックとバイアス」は必読でしょう。

 

例えば、あるスーパーのセールで

数日間は「お一人様十二個までの張り紙が出され、残り数日間は「お一人何個でもどうぞ」の張り紙に変わった

P187

だけで、売り上げが倍も変わった、などがそうです。

 

「十二個」という数字がアンカーとなり、それに近い数字を買おうとする心理が働いたのです。

テレビショッピングでもよく「お一人様3箱まで!」などといってセールスしています。こういうのを聞くと「せっかくだから3箱いっぱいまで買おう」と思ってしまいがちです。

しかし、本当に3箱も必要なのか、そもそもその商品はいるのか、ということをシステム2と相談して決める必要があります。 

 

 

また、行動経済学に興味があるなら下巻の第26章も必読でしょう。

 

この章では行動経済学の根幹をなすものの1つである、プロスペクト理論についてまとめられています。

 

プロスペクト理論とは

損失に対する感応度は、同じ額の利得に対する感応度よりもはるかに強い

P77

という理論です

 

例えばこんな問題を解いてみるとそのことがよく理解できると思います。

問題5 あなたはコイン投げのギャンブルに誘われました。

裏が出たら、100ドル払います。

表が出たら、150ドルもらえます。

このギャンブルは魅力的ですか?あなたはやりますか?

P78

 

いかがでしょうか?おそらく、「やらない」という選択を取るのではないでしょうか?

 

しかし、よくよく考えてみるとこれはおかしなことです。

なぜなら、払う可能性のある金額よりもらう可能性のある金額の方が多いのだから期待値は明らかにプラスだからです。

 

にもかかわらず、僕たちは「やらない」という選択を取りがちなのです。

このことから、100ドル損する恐怖感は、150ドル得をする期待感よりも強いということがわかります。

 

このように損失は利得より強く感じることを、プロスペクト理論では「損失回避的」と定義しています。

 

 

 

とまあ、このような感じで、

僕たちの意思決定がシステム1の影響から如何に抗うのが難しいか、

システム2が優勢になるとシステム1が如何に機能しないか、

システム1は直感的でありながら如何に正しい選択をすることが多いか(必ずしも合理的な選択が正しい選択であると言う訳ではない)、

といったことが詳しく書かれています。

 

ただ、良くも悪くも「古典」ですので、心理学を勉強したことがある人には「そうだよね」という感じかもしれません。

 

例えば、

」という記号を見た時に、その「文字」ではなく「色」を答えるのは少し難しいというストループ現象とか、

老人をイメージさせる単語を見ると歩くスピードが知らぬ間にゆっくりになるプライミング効果とか、

本当は当時は知らなかったくせに、後から答えを聞いて「もともとわかっていた」と判断してしまう後知恵バイアスとか、

 

そういう教科書に必ず書いてある基礎的理論が多く書かれているのです。

 

ただ、ここら辺の理論は「ザ・心理学」という感じかと思いますので、心理学の勉強をしたことがない人にはとても楽しく読めるのではないかと思います。

 

 

 一番面白い本書の読み方は、どういう時にシステム1とシステム2をうまく自分に有利なように活用できるか、ということを想像しながら読むことではないかなと思います。

 

例えば、自分を「モテさす」方法を考えるとか。

 

システム1と2の機能を考慮にいれれば、出会いを求めて訪れる場所も変わってくるでしょう。

もし、あなたが自分の内面に自信があるなら、参加人数が少ない合コンに行き、

もし、あなたが自分の外見に自信があるなら、参加人数の多い合コンに行くべきなのです。

 

なぜなら、参加人数が少ないとその分の情報をシステム2が機能して処理することが可能ですから、しっかりと中身を見てもらえるのです。

一方、参加人数が多いと情報が多くなり過ぎて、システム2では処理しきれなくなるので、システム1で処理せざるを得なくなります。そのため、ぱっと見で分かる外見で評価してもらえるのです。

 

ちなみに、末永く関係を続けたいなら、システム2で判断した恋愛の方が良いと思いますけどね。まあ、これはいいでしょう。個人の自由です。

 

 

また、恋愛相談を受けたとき、その人の恋を応援したい時と、略奪を狙っている時とで対応も変わるかも知れません。

もし、応援したい時には「その人の好きなところ3つ挙げるとしたら何?」と聞くのが良いし、

もし、略奪を狙っているなら「その人の好きなところを30個挙げるとしたら何?」と聞くが良いでしょう。

 

誰でも好きな人の好きなところを3つ挙げるのは容易です。システム1がさらっとやってくれます。その「案出しやすさ」を支点にして「こんなに思い出せるのは好きだからだ」とシステム1が判断します。

 

一方、好きな人のこととはいえ、好きなところを30個も挙げるのは大変です。システム2の力を持ってしても至難の業でしょう。すると、その「案出しづらさ」を支点にして「あれ?実はそんなに好きじゃなかったのかも?」とシステム1が判断します。

 

だから、もし片思いの異性に恋愛相談されたとしても、まだ諦めるのは早いです。このテクニックを使いましょう!笑

 

…みたいな感じで、システム1や2のうまい使い方を考えるととても楽しいと思います。

 

編集後記もはや、古典ですので心理学を学んだことがある人なら(実験の内容は知らなかったとしても)、「知ってるよ」ということばかりが書かれているかと思います。

しかし、実際の実験結果を数字でみると改めて驚かされるかと思いますので、読む価値は以前としてあります。 オススメの読み方は、最後にも例を挙げて書きましたが、本書に書かれていることを自分なりに応用力をもって考えてみる事かと思います。
そういう読み方ができれば、システム1で「そっかー」と受け流すような読み方ではなく、システム2を関与させた深い読み方ができると思います。本書はシステム2を活性化させてくれる題材に溢れているので、心理学を使いこなして実用的な物にしたいなと思っている人には読んでみてもらいたい本となっています。

【重大】リヒト、ブログ◯◯するってよ【発表】

リヒト(@r2209)です。 重大発表があります。

 

いや良いですよ、そんなに改まらなくて。どうせほとんど誰も読んでないんですから。それに、重大発表って言ったって、どうせ大したことないんでしょ?

 

ココロちゃんって結構ハッキリ言う人なのねw

 

では、重大発表とやらをどうぞ!

 

 

今までありがとうございました。

いやー、ココロちゃんにせっつかれてしまっては、重大発表も改まった雰囲気で伝えることさえできませんね(汗)

 

 

といっても、ココロちゃんの言う通り、それほどアクセスのないブログで改まるのもなんか違いますよね。

 

とういうことで、これ以上引き延ばすことはやめて発表しちゃいますね!

 

 

ブログを開設してから100日以上たちました。

この間、できるだけ毎日の更新を頑張ろうと思って続けてきました。

 

ですが、今後はそのペースを落とそうかと思っています。

 

毎日更新をしていた理由は、SEO対策として「そうした方がいいよ」というアドバイスがあったからです。

しかし、繰り返しますように、結果的にそれほどアクセスは延びませんでした。。。

 

残念です。

とっても残念ですが、ひとえに私リヒトの力不足が原因であります。

 

今後いつの機会かにこの経験(失敗?)を活かしたいと思っています。

 

 

今の状況と今後について

今後、毎日の更新はしていかなくなると思いますが、いつ頃からそうなるかは分かりません。

というのも、実はまだ下書き保存した記事が2週間分くらいはあるからです。

 

とにかくこの2週間分の記事は毎日1つづつアップしていきたいと思います。

その間に新しく書きたいことが出来たら、毎日更新の寿命がその分延びていくということですね。

 

せっかく100日以上続けたことですので、出来れば可能な限り長く毎日更新を続けたいとは思っています。

 

 

ちなみに、毎日更新を今後辞める見込みなのは、「頑張った割にはアクセスが伸び悩んでいる」ということだけが理由ではありません。

 

1つ目の理由 

まず1つ目の理由は至って単純で、ずばり、「ネタ切れ」です(笑)

ファイナンスと心理職をかけ算したネタって、考えるのが思った以上に難しかったのです。。。

 

単純にファイナンスだけに関係する記事、あるいは心理職だけに関係する記事ならもっと書けるでしょうが、それならこのブログで書く意味はないですからね。

 

ファイナンス系の記事ならもっと他に詳しいブログがあるし、心理職系の文章はTwitterで書く方が気楽で僕の性にあっています。

 

 2つ目の理由

もう1つの理由は「新しい仕事が舞い込んだ」です。実はこっちの方が毎日更新を諦めた理由としては強いです。

 

普段、週5の8時間勤務をしつつブログを書いていたのですが、そこに新しい仕事を差し込むとなると、どうしても何らかの時間を削らねば日常が回りません。

 

このブログをやっておきながら、運動時間や睡眠時間、勉強時間、大切な人たちとの時間を削って「身体的資産」や「対人的資産」を損なわせることをしたら本末転倒ですから、どうしてもブログを書く時間を削るしかありません。

 

一方、新しい仕事の時間を増やすことは「経済的資産」の形成にばっちり当てはまるので、このブログのポリシーとも矛盾はありませんしね。

 

 

ということで、

「リヒト、ブログ毎日更新じゃなくするってよ」っていう発表でした。

 

今後もブログ自体は続けていくつもりですので、末永くよろしくお願いします^^ 

 

やっぱり大した発表じゃないじゃないですか!

 

手厳しい〜

 

あ、でも待ってください。私のこのブログへの出演料も減っちゃうってことですか?それは困るんですけど。

  

いや、最初からバイト代なんて出してないから!

対人関係療法研究会に行ってきた話(愚痴あり)

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リヒト(@r2209)です。

 

本日は対人関係療法研究会に行って参りました。

対人関係療法の日本での第一人者、水島広子先生が主催の研究会です。

 

この研究会に出席したことがないのに「対人関係療法やってます」と言っている人がいたらモグリだと思っていいと思います。それくらいこの研究会のメンバーは超真剣に対人関係療法に向き合っています。

 

 

この研究会では、いつも事前に水島先生へ症例の概要をまとめた資料を提示し、研究会のその時々のテーマにあった症例が4ケース選ばれます。

本日は、僕の症例は選ばれませんでしたので、一参加者として出席しました。

 

当然発表者が一番勉強になるのは間違いないのですが、参加者も水島先生に直接質問が出来るので、とっても勉強になります。

 

本日の症例は、午前が反復性うつ病のケースと拒食症のケースでした。

そして午後が双極性障害のケースと社交不安障害のケースでした。

 

対人関係療法は「医学モデル」と言って、「病気を治す」ということを目的に作られました。

僕たち心理カウンセラーは医療行為と区別するために、自分たちの実践を「援助行為」と称することが多いですよね。

ですから、心理カウンセラーが対人関係療法を実践する際、この「医学モデル」に違和感を最初どうしても感じてしまいがちです。

 

しかし、よくよく考えると「医学モデル」で想定する「病気」は「治せるものである」ということを意味しますし、結局「治す」のは患者自身だということを考えると、「病気を患者が自力で治していくのをお手伝いする」ということは極めて「援助モデル」であると言っても過言ではないと思います。

 

 

ともかく、対人関係療法は「医学モデル」を採用しますので、僕たち心理カウンセラーにもかなり詳細な各疾患の理解が求められます。

 

どの疾患にはどういった症状があるのか、それを全て頭に入れている必要があります。

そうしないと対人関係療法を実施する際、上手な戦略を立てることが出来ないのです。

 

 

例えば、社交不安障害やトラウマに伴う完璧主義の扱いも、ちゃんと対人関係療法の理論と社交不安障害やトラウマについて知っておかないと、対人関係療法としては誤った介入の仕方をしてしまうことになるでしょう。

 

守秘義務があるので詳細は書けませんが、本日のケースでちょうどそういう場面がありました。

このケースを担当した治療者は、完璧主義を「認知の歪み」と言ったものとして介入せず、

 

「過去につらい体験があり、病気があるとそれを人の何倍もつらく感じますよね。もうそんなつらい思いをしたくないと思えば、どうしても完璧な状態でないと安心できませんでしたよね。あなたの今までと、社交不安障害の不安の性質を考えれば、そういう風になるのは当然なんですよ」(発表者が実際に行った介入の本質が損なわれない程度に改変しています)

 

というように、症状の直線上にある傾向であると心理教育されていました。

 

こうすることで完璧主義の原因を「私」から「病気」へ転換することが出来ます。そうすると、「完璧主義であるダメな私」という否定的な自己評価の影響を減ずることが期待できます。

 

 

このような戦略は、対人関係療法をしっかりと勉強し、実践を積まないとなかなか出てこない発想でしょう。

 

対人関係療法研究会に定期的に参加しているメンバーは、こんな大変な作業をお金(アイキャッチ画像を見ていただければお分かりかと思いますが、結構高い(汗))と時間を使って一生懸命勉強しているのです!

 

 

……以上、ちょっとだけ、わざと、対人関係療法を本格的に実践するのは大変なんだよということを強調しました。

 

別にこれは自慢するつもりでそうしたのではありません。(そう思った方がいたら申し訳ないですが)

 

ではなぜちょっと誇張したかというと、ある許せない行為があったからです。

 

以前僕は水島先生のツイートをお借りして、こんなツイートをしました。

 

 

今日の研究会で他の人はどう思っているのか聞いてみたのですが、やはり僕と同じく頭に来ているようでした。

 

著者の名誉のために実名は挙げませんが、それなりに社会的地位や責任のある人が、よく調べもせずに、またよく勉強もせずに誤った知識を世に広めることは許されることではないでしょう。

 

でも、結構売れちゃっているそうです。。。

 

 

対人関係療法はきちんとしたマニュアルと戦略があるのです。だからこそエビデンスが担保できているのです。

それなのに、マニュアルも戦略も本当の対人関係療法とは異なる「ニセモノの対人関係療法」をやってしまったら、対人関係療法全体の社会的評価が低下しかねません。

 

患者には自分が受けているのが本物かニセモノかなんて分かる分けないですからね。

ニセモノの対人関係療法を社会的地位や責任がある人物が実施するのは、かなり倫理的に問題のあることです。

 

対人関係療法に興味のある方は、少なくとも最初の一冊は水島広子先生が書かれたものを手にとってください。お願いします。

 

専門家の方にはこちらがオススメです。

これよりライトに読みたい方にはこちらがオススメです。

あ、もし僕が対人関係療法の本を書くことがあったら、それも是非買って読んでみてくださいね(笑)

 

まぁ、そんな予定はないのですが。。。

 

 

ただ、近々このブログで対人関係療法についてかなり詳しい記事をシリーズでアップしていく予定です! 楽しみに待っていてくださると幸いです^^

 

では、本日はこの辺で!ありがとうございました!!

不安の種類は大きく4つ! それぞれのタイプの不安に適した効果的な対処法

Anxiety, Fear, Stress, Emotion, Wooden 

リヒト(@r2209)です。
以前、アンガーマネジメントに関する記事を書いたらちょっと好評だったので、今回も感情への効果的な対処法についてまとめたいと思います。

 

今回も怒りに関してですか?

 

いや、今回は不安についてまとめたいと思っているよ。不安も容易に怒り変換されてしまう感情なので、不安への対処法を知ると、怒りの対処法にも繋がると思う。

 

 

感情には必ず理由がある

 以前、怒りの感情を対処する方法についてまとめました。

 

こちらの記事で指摘したことは、「怒り」という感情は「何か困ったことが起きているということを知らせてくれるサインである」ということでした。 

 

感情が何かを示すサインであることは、何も怒りの感情だけに言えることではなく、実は全ての感情についても言えます。

 

当然、不安にも意味があるのです。

 

 

では、不安の意味するものとはなんでしょうか?

 

不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれていると考えると良いかと思います。

 

そんなの当たり前だ!と思われるかもしれません。

しかし、このことをおさえておかないと、いたずらに不安がることとなり、そこから抜け出すことができなくなる可能性があります。

ですので、この点をしっかりと認識しておくことが重要です。

 

 

不安には4種類ある

今回は、水島広子先生が書かれた大人のための「困った感情」のトリセツを参考にしつつ、僕なりの解釈を加えて不安への対処法についてまとめていきたいと思います。

 

さて、まずは僕のオリジナルの考えからご紹介したいのですが、それは、上述した不安のサインをまずはしっかりと認識して頂いた上で、「不安には4種類ある」と考える方法です。

 

下記のマトリックスを元に考えると整理しやすいかと思います。

         
    コントール  
    可能 不可能  
対人関係 あり

自分のこと
心の矢印を相手に向ける

相手のこと
逃げる

 
なし

アセスメントする

感じるしかない

 
         

 

このように、不安には「対人関係に関するものか」という軸と、「コントロール可能か」という軸の二つの軸で4つに分類することができるのです。

 

これらのうち、自分が今感じている不安がどれに該当するのかによって、とるべき対処方法も変わってきます。

 

以下、それぞれの不安の特徴と対処法について解説していきたいと思います。

 

 

対人関係が関与し、自分で何とか出来る不安

まずは、「対人関係が関与し、自分で何とか出来る不安」についてです。

これは上記の表の①です。

 

具体例を挙げながら説明した方が分かりやすいでしょう。

例えば、こんな状況をイメージしてください。

 

明日のプレゼンで成功させ、上司から良い評価を受けなければならない

\ 

 

プレゼンをするという行為は、必ず聞き手がいるわけですから、対人関係が関わる状況です。

かつ、プレゼンをする人は自分(あなた)ですから、コントロール可能です。

 

ですから、上記は①に該当します。

 

え?上司からの評価はコントールできませんよね?

 

 

いいところに気づきましたね。

 

対人関係が関わる不安は、必ず何らかの形で相手方がいます。

この時の原則としてとても重要なことは、「相手方のことはコントロールできない」ということです。

 

ここって、実はとっても大切なところです。

 

人が不安になるとき、コントロール出来ないことをついコントロールするために躍起になることから生じたりもしているのです。

 

ですから、対人関係が関わる不安に見舞われたときは、「この状況でコントロールできるのは自分の行動と心持ちだけ」としっかりと改めて考え治すことです。

 

コントロール出来ない相手方についての不安にはどう対処するのか、は次のテーマになりますのでちょっと待っててくださいね。

 

さて、対人関係が関与していることと自分の行動と心持ちだけがコントロール出来る事柄であることに目を向けられたら、いよいよその状況から来る不安をどう対処したらいいかの検討に入りましょう。

 

とはいえ、対人関係が関与していることと自分の行動と心持ちだけがコントロール出来る事柄であることに目を向けられた段階で、もうすでにやるべき事が見えてきているのではないでしょうか?

 

そうです。

人はコントロール出来ないことをついコントロールするために躍起になるから不安になるのでしたね?

だったらそんなコントロール出来ないことは一切考えないようにし、自分でコントロールできることだけに集中すればいい、ということになります。

 

そうしたら自ずと不安は減っていくのです。

 

それができないから困ってるんじゃないですか〜

 

いや、多分出来ないのでは無く、やり方を知らないのだと思います。

やり方さえ分かってしまえば、非常に簡単ですよ。

 

そのやり方は、「相手の興味関心に興味を持つ」ということです。

先述例に挙げた状況は、「プレゼンで成功させ、上司から良い評価を受ける」というものでした。

 

この時コントロール出来るのは、プレゼンを自分なりに上手くやる事だけです。

では、「上手くやる」とは具体的にどういう状態でしょうか?

 

上司から良い評価を受けること?いえいえ、上司からの評価はこちらではコントロールできません。

 

出来るのは、「相手が何に関心があるのかを推察し、それを相手に分かるように伝える」ということです。

ここを意識していれば「今までの説明で何か疑問に思うことはありませんでしたか?」というような質問が自ずと出てくると思います。

 

相手からの評価を気にして自分のことばかりしか考えられないと、こんな質問は決して出てきません。

 

自分のことばかりしか考えられない状態を、僕は「心の矢印が自分に向いている」と呼んでいます。

 

図にしてみると分かりやすいでしょうか?

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矢印の向きに注目してください。

本来、相手がどう自分を評価しているかなんて絶対分からないのです。

それなのに、相手から自分に向かう矢印を作り出してしまっています。

 

こういう虚構、分からないことを作り上げると、人は不安になるのです。

不安は常に「未知の体験」に関する感情だからです。

 

 

こういったときは、是非矢印の方向を相手に向け直すことを意識し、「既知の体験」にしてしまいましょう!

 

相手が過去に言っていたことは既に知っていることですので、それを思い出せたら既知の体験になります。

そういったことを仮に知らなかったしても、先述したように「何か疑問に思うことはありませんでしたか?」という質問をして、相手の分からないことを知ってしまうようにすれば既知の体験になります。

 

こちらも図にしてみました。

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こちらは心の矢印が相手に向いています。自分にコントロール出来る事だけに集中出来ている状態ですね!

 

 

対人関係が関与し、自分では何もできない不安

続いては、同じ対人関係が関与する状況でも、自分には何もできない時に感じる不安についての対処法です。

 

上記の表でいうと、②に該当する個所です。

 

この場合は、やれることは一つだけです。

 

ずばり、「逃げる」。

 

これしかありません。

 

だって、相手のことはいくら頑張ってもコントロールできないのだから。

①のパターンでまずは自分のことに集中してみて、それでも状況が改善しない場合、もうそれは明らかに相手に問題があります。

 

相手の問題は相手のものですから、相手にしかどうすることも出来ません

残念ですが、その人とは距離をとった方がイイでしょう。そのことに罪悪感を感じる必要はありません。

 

例えば

 

いくら丁寧に対応し、不快な気持ちも相手への尊厳を持って伝えたが、しつこくSNSで連絡を取ってくる 

 

というような人がいたら、そっとブロックしましょう。

それでも相手の暴走が止まらない場合は、法的処置も検討する必要があるかも知れません。

 

 

対人関係が関与せず、コントロール可能なときの不安

続いては、対人関係は関与せず、状況をコントロール出来るときに感じる不安への対処法です。

 

上記の表の③に該当します。

 

この場合は、「アセスメントをする」が有効かと思います。

繰り返すように、不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれている感情です。

 

とするなら、この不安を和らげたいと思う場合は安心を確保し、既知の体験にしてあげれば良いわけです。

 

これがここで言うアセスメントです。

 

例えば、

 

将来年金がいくらもらえるのか不安だ

 

と言う状況を考えてみましょう。

確かに、年金がもらえないのは安全なことではありませんし、まだ支給前だとすると未知の体験です。

 

ただ、この手の不安は、別に年金が支給される年齢になるまで解消されないというものではありません。

 

いくらもらえるのか、ちゃんと調べることができるのです。

www.nenkin.go.jp

 

登録は必要ですが、将来いくら年金が支給できるか簡単に試算することができます。

 

人の意見に流されて、自分の頭で考えず「知らない」という状況のまま留まっているといつまでたっても不安は消えません。

不安と言うのは、頭に中にあると際限なく膨らんでいく性質があります。

 

ですから、しっかりと自分の頭で考え、アセスメントし、外在化することで、不安を等身大の大きさへ縮小させていくことが必要なのです。

 

 

対人関係が関与せず、コントロールが不可能なときの不安

最後は、対人関係は関与せず、コントロールができない時に感じた不安への対処法です。

 

表の④に該当する個所です。

 

この手の不安はもやは「感じるしかない」不安です。 

 

ほとんどの場合、感じるしかない不安は感じ続けることが可能です。

もしそれにもかかわらず、いてもたってもいられないほどの不安がある場合、考えられる可能性は大きく分けて二つです。

 

一つは不安障害に罹患している可能性です。

一応、このブログは心理カウンセラーの方々を主な読者として想定しているので、不安障害への対処法は割愛します。

 

 

二つ目の可能性は「不安を感じる=弱い」という風に捉えてしまっている、です。

もしそうなら、その考えは勘違いですので安心して捨ててください

 

くどいようですが、不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれているのです。

こんな状況で能天気に過ごせる方がおかしいのです。

 

不安になるのは人として当然なのに、そこに「人として弱い」という価値判断を加えても意味がありません。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

 

今回は水島広子先生が書かれた大人のための「困った感情」のトリセツを参考にしつつも、オリジナルな知見から不安の対処法についてまとめました。

 

不安は「安全が確保されていない」ということと、「未知の体験である」ということを知らせてくれているということを前提に「4種類ある」と考えると、対処しやすいと思います。

 

その4種類とは、

対人関係が関与し、自分で何とか出来る不安

対人関係が関与し、自分では何もできない不安

対人関係が関与せず、コントロール可能なときの不安

対人関係が関与せず、コントロールが不可能なときの不安

 

 

です。

それぞれへの対処法として、ここでは

は、心の矢印を相手に向け、自分がコントロール出来ることに集中する

は、相手の問題なので、改善しない時は逃げる

は、アセスメント(情報収集)して、未知の体験を既知の体験にする

は、感じ続けるしかない。そこに「弱い」などという価値判断を挟まない

 

を挙げました。

 

ちなみにですが、①の不安への対策をご説明するとき「心の矢印が相手に向く」と不安になるとお伝えしました。

ここは怒りとも共通する特徴です。

 

不安という感情は抱えておくのがとてもしんどい感情です。

ですので、抱え続けると精神的に余裕がなくなります。

すると、心の矢印を自分に向けるのにエネルギーを使うことが出来なくなり、つい相手にその矢印を向けてしまいます。相手に心の矢印を向ける方が楽だからです。

 

この時、精神的に余裕が更に無くなると、人はその余裕のなさにイライラしてきます。

 

このようにして、最初は不安だった感情は怒りへと変換されてしまうのです。

ですから、日頃から心の矢印を自分に向けることを心がけ、不必要な不安を感じなくするトレーニングをしておくとよいでしょう。

 

 

以上、不安への対処法について解説しました。 

何か参考になれば幸いです。今後、他の困った感情のトリセツも解説していくかも知れませんので、宜しくお願い致します!