心理職でもできる資産形成と運用

心理職でもできる資産形成と運用

FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

【失業保険】転職したい時にも、結婚して辞めざるを得なくなったときにも使える!

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リヒト(@r2209)です。
心理カウンセラーとして働ける領域ってたくさんあるけど、その分色んな勤め先があるよね。

 

そうですね。私の友達は念願のメンタルクリニックに勤務できたんですが、なかなか方針について行けずに転職しようかどうか迷ってるって言ってました。
自分がカウンセリング受けたいくらいって嘆いてましたよ。。。

 

この業界、変な人多いからね…って言ったら怒られるから言わないけど、職場と合わないことって結構あるみたいだね。

 

けど、先立つものがないとなかなか「退職」っていう決断はできないですよね。

 

そうだね。けど、ココロちゃんの友達のように健康を害してまで働くのは考えものだと思うな。利用できる制度は利用して、新しいところを探すのも悪くはない選択だと思うよ。

 

 

おさらい 社会保険って何だっけ?

退職を考えた時、皆さんならどうしますか?

求人サイトを調べたり、Twitterで検索かけたり、院生の時にお世話になったゼミの教授に相談したり、ってことが多いのではないでしょうか?

 

「失業保険を利用する」という発想が頭に挙がっても、「よくわからない」と思って利用しない人もいるかも知れません。

 

そんなことをグルグルと考えると頭がパンクして、ココロちゃんの友達のように我慢して働き続ける、ということも中にはあるかも知れませんね。

 

けど、僕たちはこういう困り事が訪れるリスクに備えて既に保険に入っているのです。

それが社会保険です。

社会保険を利用することを躊躇してしまう気持ちも理解できますが、僕たちには利用する権利が与えられているので、全く後ろめたく思う必要はありません。

 

 

ところで、社会保険、覚えていますか?

社保と呼ばれるもので、ここでは厚生年金と健康保険、労災保険雇用保険が含まれます。

ただ、「社保」は人によって定義が異なってくることもあるので注意が必要です。

もっとも狭い意味で用いる人は、社保=厚生年金+健康保険と考えていて、労災保険雇用保険は含めなかったりもします。

 

この辺りの話は過去にもお話ししているので、ご参照下さい。

 

  

雇用保険の中にある基本手当

今回は、社会保険の中でも雇用保険の話です。週に20時間以上給与所得を得ている職場で勤務している人が加入している保険でしたよね。

雇用保険には、基本手当、就職促進手当、教育訓練給付、雇用継続給付などの種類があり、今回お話しするのは「基本手当」のことです。

 

「基本手当」と聞くとあまり馴染みながないかもしれませんが、いわゆる「失業保険」のことだと思ってもらえると良いかと思います。

 

 

失業保険の給付内容

失業保険は、失業者、つまり就職できる状態で就職する意思がある人、に給付される保険です。

どれくらいの期間給付されるのかは、年齢やどれくらい勤務期間があるかによっても変わってきます。

表にすると分かりやすいと思いますので、下記を参照して下さい。

 

①自己都合、定年退職の場合

       
  雇用保険に加入していた年数
  1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 90日 120日 150日
       

このように、勤務年数によって給付される日数が変わってきます。

 

 

離職する理由によって、上記とは異なる給付日数が付与されることもあります。

そちらも表にまとめてみました。

 

②倒産、会社都合の解雇等の場合

           
離職時の年齢 雇用保険に加入していた年数
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日   120日  180日  
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 120日 240日
           

 

先ほどの自己都合等に比べると、給付される日数が全体的に長くなります。

 

こちらの給付日数になる条件は様々なものがあります。

例えば、勤め先の倒産や解雇されたりなどです。

その他、離婚、結婚、介護などで離職せざるを得ない時にもこちらが使えます。

 

本当に、様々な理由がありますので、何らかの理由で離職を考えた場合は調べてみることをオススメします。こちらからどうぞ!

ハローワークインターネットサービス - 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

 

 

場合によっては、重たい病気を抱えることとなることによって離職する場合もあるかも知れません。その場合はまた異なる給付日数になります。

こちらも表で示してみます。

 

③障害者等の就職困難者

     
離職時の年齢 雇用保険に加入していた年数
1年未満 1年以上
45歳未満 150日   300日 
45歳以上
65歳未満
150日

360日

     

心理カウンセラーとして勤務している方は、仮に自分が就職困難者ではなかったとしても、支援対象としている方(クライエント等)が就職困難者であることもあるでしょう。

ですから、この程度のことは知識として知っておくと良いかと思います。

 

知識として知っておけば、心理カウンセラーとしては何もしてあげられなくても、PSWにリファーするなど取れる手が増えていきます。

特に公認心理師は連携をはかることが望まれています。連携には知識が必要なこともあるのです。

 

就職困難者の定義についてはこちらの「保険のまめ知識」が分かりやすかったので、リンクを張っておきます。

就職困難者とは - 雇用保険における定義と基本手当(失業手当)受給時の優遇措置

 

 

失業保険給付の具体例

なかなかイメージしづらいと思いますので、モデルケースをもとに、どれくらい給付されるのかを見てみましょう。

 

〇小野寺リヒトさん

年齢:30歳

被保険者期間(雇用保険に加入していた期間):4年間

離職理由:自己都合

退職前6ヶ月の賃金:22万円、23万円、22万円、21万円、22万円、22万円

 

さて、この条件の時、基本手当はどれくらいの額になるのでしょうか?

給付率は年齢と賃金日額に応じて、45%~80%の範囲で決まります。ただ、具体的な数字は結構面倒な計算式に基づくので、ここではざっくりと60%と考えて計算します。 

 

先述の条件を見ると給料が22万円、23万円、22万円、21万円、22万円、22万円でしたので、トータルすると132万円です(退職前6ヶ月の賃金から失業保険の給付額が計算されます)。

 

これを180日で割ります(ここはそう決まっているのです)。

 

132万円÷180=7,333円

 

となります。

 

今回はざっくり計算で給付率を60%と考えますので、給付される額は

 

7,333円×0.6=約4,400円

 

となることが分かります。

 

小野寺さんは4年間雇用保険に加入し、離職理由は自己都合でしたので、給付日数は90日となります。

もう一度該当する表を挙げますね。

       
  雇用保険に加入していた年数
  1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 90 120日 150日
       

 

以上より、小野寺さんの失業保険の受給額は、

 

4,400円×90日=396,000円となります。

 

 

再就職手当

就職活動中に(上記の例で言えば)40万円近く給付があるのは有り難いですね。

ただし、再就職が決まった場合は、受給額が90日に達しなくてもその時点で失業保険の給付は打ち切られてしまいます。

 

こう聞くと、早めに再就職したら損!と思われるかもしれませんが、そんなことはありませんのでご安心ください。

給付期間の3分の1以上残して再就職した場合、「再就職手当」というボーナスのようなものがもらえるのです!

 

もし、①3分の1以上残して就職したら残りの失業保険の6割が、②3分の2以上残して就職したら残りの失業保険の7割が再就職手当として給付されます。

 

 

失業保険の受給要件

離職前の2年間に、被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)が通算で12ヶ月以上あることが必要です。

ただ、倒産や解雇等が理由の場合、離職前の1年間に被保険者期間が6ヶ月あれば大丈夫です。

 

 

待期期間

失業保険をもらう手続きは、ハローワークにいって行いますが、手続きをしたらすぐにもらえると言うわけでは残念ながらありません。

 

実は、待期期間というものがあり、その間は何も給付がないのです。

(待「機」ではなく、待「期」です)

 

この期間は、7日間です。

この7日間は絶対に仕事をしてはいけません。アルバイトもダメです。

 

 

どうして待期期間があるかというと、不正受給を予防するためだと言われています。

失業保険の給付を受けるということは、その間は働いていないということを意味するはずですよね?

ですから、ハローワークはこの7日間を使って「働いていないか?」ということを調べるのです。

 

働いているのに失業保険もらったら不正受給になりますもんね。

 

 

自己都合で退職した場合、この待期期間の7日間にプラスして最長で3ヶ月の給付制限もあります。

給付制限の間はアルバイトをしてもOKです。

 

この給付制限の期間で雇用保険受給者説明会を受けたり、就職活動を行います。

就職活動は基本的に4週間に2回はする必要があり、これをしないと失業保険が給付されませんので注意して下さい。

 

なぜなら、失業保険は「失業者」に給付されるものであり、失業者とは「働く能力と意志をもち、しかも本人が現に求職活動をしているにもかかわらず、就業の機会が社会的に与えられていない者」だからです。

きちんと就職活動をし、働く能力と意思があることを証明する必要があるのです。

 

 

失業保険の受給期間

離職日の翌日から起算して原則1年間です。

ちなみに、この「受給期間」と先ほど説明した「給付日数」は別物ですから注意して下さいね。

 

受給期間は、失業保険をもらう権利を行使できる期間と言える期間です。一方、給付日数は何日分の失業保険がもらえるかを指しています。

 

ここを間違えている人が結構いますから、気をつけましょう!

 

 

失業保険の手続き

持ち物はだいたいこんな物です。

離職票雇用保険被保険者証、写真、通帳、印鑑、本人確認証です。

 

離職票は退職後おおよそ3週間程度で勤めていた所から送られてきます。

待っていても送られてこない場合は会社に請求するか、ハローワークで再発行してもらいましょう。

 

雇用保険被保険者証は入社時に渡されているか、離職票と一緒に送られてくるかすると思います。

 

詳しくは、お近くのハローワークに問い合わせてみましょう!

 

 

しんどい思いをしてまでずっと働き続ける必要はありません。

心理カウンセラーのかたは真面目な方が多く、クライエントのことを考えたらなかなか行動に起こせなくなるかもしれませんが、不健康な状態で面接等されるクライエントも気の毒です。

思い切って転職し、自分らしい働き方を探すことも考えてみてくださいね!