心理職でもできる資産形成と運用

心理職でもできる資産形成と運用

FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

【厳選】公認心理師が絶対読むべきオススメ本25冊+2!

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リヒト(@r2209)です。
公認心理師の資格の登録が済んでしまえばそれでもう勉強はしなくていい、と言っている人がいたらココロちゃんだったらどう思う?

 

うーん、やっぱりそれはよくないと思います。実際、公認心理師にはその職責に「資質向上の責務」があるわけですし。

 

そうだね。公認心理師の登録が済んだからこそ、勉強をし続けなきゃいけないということだね。
というわけで、今回は僕が公認心理師の方々にお勧めする本をいくつかピックアップしたからそれをご紹介したいと思います!
ちなみに、試験対策に特化したものではないですからあしからず。

 

 

臨床心理学

方法としての面接

まず最低限おさえたいのは、どういうスタンスで仕事にあたるかです。

まさか、読んでない人はいないでしょう…、と、思わせるくらい本質をおさえた不朽の名著です。

臨床の理論では「共感が大事」と、ことさら“分かる”ことが強調されますが、そうそう他人のことなんて分かるわけがありません。これは、いくら心理師であってもそうです。

ことの本質は、「分からないこと」です。分かろうとすることが求められる心理師だからこそ、「分からない」を大切にする必要があります。

臨床家としての軸をしっかりと築くのに、大切な一冊です。

 

 

面接法

「方法としての面接」の姉妹書的位置づけにあるのが、こちら。

こちらも同様に、面接のエッセンスをおさえ、実践上の上達法を学びたい人には必読の書です。「方法としての面接」と合わせて読みたいところです。

 

 

心理療法家の言葉の技術

言葉に責任を持つ仕事だからこそ、細やかな心遣いを常にし、どういう影響をもたらすのかに敏感でありたいものです。

かなり分厚い本で最初は圧倒されてしまうかも知れません。

しかし、読み始めるとその手が止まらなくなると思います。

著者の巧みな言葉運びに魅了され、「同じことを伝えるにしても、この伝え方ならクライエントへダイレクトに、しかし、侵襲的にならずに言いたかったことが伝えられる…!」と明日すぐにでも実践したくなるはずです。

心理療法家として、言葉に責任を持つのならなんとしても読みたいところです。とってもおすすめです。

 

 

臨床に活かす基礎心理学

公認心理師基礎心理学をも含めた、心理学のスペシャリストです。

本書は公認心理師が誕生する前からある本ですが、公認心理師として仕事をする上で重要なことが記載されています。

公認心理師の試験を受けたことがある方ならお分かりのように、公認心理師は非常に幅広い領域の心理学の知識を身につけることが要求されています。それは公認心理師が臨床心理学だけではなく、基礎心理学の知識も身につけ、それを対人援助に広く応用していくことが求められているからに他なりません。

せっかく身につけた知識、バラバラにただ覚えておくだけではなく、是非臨床に活かしていきたいものです。

 

 

動機づけ面接 上・下

対面の心理面接をしているのなら、どの学派で実践していたとしても動機づけ面接のスキルは必須だと思います。

カウンセリングを受けにくるクライエントは、往々にして問題を自覚して来談しています。そういう意味では、動機づけはもともと高い方が多いでしょう。それでもなお、僕は本書をおすすめします。

というのも、いくら動機づけが高いクライエントであったとしても、そこには必ず「問題を克服したい」という思いと「でも、克服する上で自分に何が出来るだろう…」といった不安や躊躇する気持ちを必ず両方持っているからです。

このような葛藤を動機づけ面接では「アンビバレンツ」と捉え、それをどう処理していくかを丁寧に扱っています。

心理師であっても、「こうすればいいのに」と尻を叩きたくなる衝動にかられてしまいます。人間だから仕方がありません。

しかし、これをしてうまく行くことはほとんどありません。動機づけ面接では「間違い指摘反射」としてこの衝動をおさえる技術が用意されています。

クライエントが本当に望む方角へ、併走していける心理師になりたいものです。

 

 

精神療法の基本

特定のオリエンテーションを決める前に、各種面接に共通する因子をおさえることはとても重要です。

特定の学派に精通したマスターセラピストと呼ばれる人は、実は学派が異なるはずなのに似たような実践をしていることが知られています。

これは、本当に効果がある実践は学派に共通されており、学派の違いを生むのは枝葉の部分であったのだということを物語っています。

学派にこだわった学習は、その枝葉のみの学習となり非実用的です。しっかりと精神療法のベースをおさえてから、色づけとして各種学派の知識を学ぶことが一見遠回りなようで、実は一番の近道なのかも知れません。

 

 

精神分析治療で本当に大切なこと

どっしり、かつ、柔軟な本物の仕事に触れたいならこちら。

 

フロイト精神分析(欲動論)はもちろん、自我心理学、対象関係論、自己心理学をバランスよく統合し、患者の自我状態や治療者の逆転移感情等に応じて柔軟に理論を使い分ける著者の臨床力の高さには圧倒させられます。

知的な理解の冷たい介入ではなく、非常にハートフルな介入になっているので、オリエンテーション精神分析ではない方にも大変に参考になる一冊です。

 

 

はじめてまなぶ行動療法

タイトルに偽りなし。ただし、決して浅くはなく、ある程度行動療法について学んだ人にも新たな学びがあること間違いなしです。

基本となる古典的条件づけから、最新のACTまでが非常に分かりやすく丁寧に書かれています。ここまで網羅的な本は他にないと思います。著者の文体も丸くて優しい雰囲気が伝わるので、おすすめです。

 

 

認知行動療法レーニングブック

DVDも視聴できるので、CBT初心者にも大変参考になります。

CBT関連の本には珍しく、「転移」についても書かれており、CBTを嫌厭していた方にもすんなりと読み進めていくことが出来ると思います。なにより、DVDを視聴しながら学べるので、実践状況がとてもイメージしやすいのが大変嬉しいところです。

 

 

事例で学ぶ認知行動療法

すでにケースを持って実践されているなら、こちらは必読でしょう。
心理カウンセラーとして勤務することになった初年度、いきなりCBTをやるように言われ、しかも、いきなりケースを担当することになったので、本書には大変救われました。
セラピストである著者とクライエントとのやりとりが逐語に近い形で記載されているので、展開がイメージしやすく、心理教育の際の言葉回しも真似させてもらいました。
 
 

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない

タイトルは非常に辛辣ですが、本質をおさえた実に現実的なACTにまつわるお話です。

「幸福にないたい」と強く強く思うほど、些細な不幸に敏感となり、いっこうに幸福にはなれません。

これは病気の症状がある時も一緒で、病気を強く治したい治したいと思うと、「まだ症状が残っている」という方向に思考が流れるので、どんどん気持ちがふさぎ込みます。すると結果として有益な行動を起こすことが減り、却って病気が治りづらい環境に身を置くことになるのです。

本書は「幸福を前提としない」というACTの発想を、ACTを知らない人にも分かりやすく解説してくれています。一見自己啓発本のように見えますが、しっかりとした学術書です。

 

 

メンタライジング・アプローチ入門

近年、精神分析領域で研究が盛んになされている考え方です。

他者の心的状態を見出したり推論したりする力のことをメンタライジングといいます。
この能力があることによって、自分や他人の行動を知覚し、理解することが可能になります。
僕はあまり詳しくはないですが、認知心理学で言うところの「メタ認知」、発達心理学で言うところの「心の理論」との共通点もあるのかもしれません。
ただ、少なくとも本書を読んだ僕の感想は、「これを意識的に取り入れることができ盤石なスタンスを築けるまでになれば、相当すごいことになる。ある程度実践を積んだ人が更に上に行くステージがあるとしたら、まさにそれはこのメンタライジングを意識したスタンス」でしたので、とても含蓄のある概念であることは間違いないと思います。
 
 

連携

よくわかるコミュニティ心理学

公認心理師は心理学のスペシャリストであると同時に、そこだけにとどまらず関連する周辺領域の職種の方々と連携し、知識を得ていく必要があります。
連携や地域援助は、臨床心理士にはあまりなかった発想ですので、なじみのない人も多いかも知れません。
そんな中、臨床心理学の中でも連携や地域援助の重要性を当初より強調し続けていたのがコミュニティ心理学です。残念ながら公認心理師の間でもコミュニティ心理学の認知は進んでいませんが、必須の知識であることは間違いないでしょう。
公認心理師は産業領域で勤務することも求められていますが、本書はEAPの実践家も執筆にあたっているので、産業領域に興味がある方も是非お読みください。
 
 

心理専門職の連携・恊働

より具体的に連携について学びたい方にはこちらがおすすめです。
シナリオ形式なので、ご自分の今の職場で応用ができるイメージがわきやすいと思います。
 
 

精神疾患

うつ病がよくわかる本

著者の提唱する3ステップアプローチは一読の価値があります。 

うつ病治療は、その内面にのみにフォーカスをしてもあまりよくなっていかないのが実感です。やはり、生活環境や日常生活動作に対する介入もしていかないといけないというのが正直なところでしょう。

著者の提唱する3ステップアプローチは、まさにこのあたりのことを考慮に入れたうつ病治療に特化した治療戦略です。

 

 

拒食症・過食症対人関係療法で治す

摂食障害は食の問題に見えて、本質的な問題は実は別なところにあります。

食の問題だけに介入し、ただ体重を増やすだけ、過食を我慢させるだけ、というようなアプローチは短期的に効果があったとしても、ほとんどが再発をします。摂食障害は再発を繰り返せば繰り返すほど悪化していきますから、まさに悪循環です。

摂食障害を治そうと思ったら、食の問題に隠れて見えなくなっている本質的な部分に介入する必要があります。そのヒントをくれるのが対人関係療法の考え方です。

本書は、摂食障害の正しい知識と対人関係療法についても学べるので、非常にお勧めできます。

 

 

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア

トラウマという、勉強するだけでも胸が痛む問題を、誰もが知る赤ずきんちゃんとオオカミの話をモチーフに分かりやすく記述してくれています。

ストーリー仕立てになっており、赤ずきんちゃんとオオカミの2人の成長を通してトラウマとそのケアの現実を学ぶことが出来ます。

赤ずきんちゃんの物語から、赤ずきんちゃんにトラウマがあることはすぐに理解できるかもしれませんが、オオカミの方にも実はトラウマに係わる大きな問題があったのです。

 

 

発達性トラウマ障害と複雑性PTSDの治療

発達の問題とトラウマの問題は切り離して考えることができません。

子どものころからトラウマを体験すると発達障害に似た症状を呈することはよく知られています。

しかし、発達障害がもとからあったからそのために失敗体験が重なり、理解されないことが多く、結果としてトラウマになったのか、それとも、トラウマの結果として発達障害様の症状を呈するようになったのか区別をするのは大変困難です。

また、幼少期から繰り返しトラウマを体験すると、パーソナリティ障害様の症状、特に境界性パーソナリティ障害に似た症状を呈することもあります。

近年、明らかなトラウマに起因してパーソナリティ障害様の症状を呈している疾患は複雑性PTSDとして別枠で捉えることが増えてきました。研究者によっては「境界性パーソナリティ障害は、全部複雑性PTSDの誤診だった」と主張する人もいるくらいです。

いずれにせよ、トラウマと発達の問題は臨床家として避けて通れません。本書は最新の知見を網羅して介入のエッセンスを提示してくれています。

 
 

発達心理学

子どものための精神医学

本書の登場で、これまでの発達臨床心理学に関する本は必要なくなりました。といっても過言ではないくらい、非常に網羅的に実践上役立つ知識が満載となっています。

本書はピアジェフロイトの理論を軸として、子どもたちの発達とそれに合わせた支援のあり方を具体的に記述しています。

ピアジェフロイトも、発達臨床をやる上で学ばない人はいないでしょうので、既知の理論を応用したらどうなるのか非常にエキサイティングに読めると思います。

 

 

 

自閉症療育の宝石箱

子どもと係わる領域の代表が療育でしょう。療育を実践する上で、太田ステージの考え方は非常に参考になると思います。

療育として体系だった理論はそう多くなく、実践現場で手探りをしていることもしばしばなのではないでしょうか。

そんな中、一つの参照枠として大変力強いのがこの太田ステージという視点です。療育に係わる仕事をしている方には必読でしょう。
 
 

特別支援教育に力を発揮する神経心理学入門

子どもと係わる領域としてもう一つ代表的なところが特別支援教育でしょう。ABAばかりに目を向けると大切な視点をつい見落としてしまいますので、注意したいところです。

必見は、図1「神経心理学的な支援の枠組み」です。この図を頭に入れておくだけで、網羅的な視点から支援が必要であることを思い出させてくれるでしょう。是非本書を手に取って図1を確認してみてください。
 
 

触法者の心理

サイコパスの真実

サイコパスの異常性を、科学的知見に基づきながらも専門用語を極力排して書かれている非常に信頼のおける本です。
公認心理師は司法領域で勤務することも期待されています。その際、触法行為をおかすことが多いサイコパスの心理特性について知っておくことは重要でしょう。
よく反社会性パーソナリティ障害と同一視されることもありますが、サイコパスはこれとは別物です(オーバーラップするところはあります)。
本書を読んで衝撃的だったのは、サイコパスではない犯罪者に用いる矯正的な治療は非常によい効果を上げている一方、同じ治療がサイコパスには逆効果になるという事実です。
なんでも、治療を通して学んだ他者への配慮、共感性、感情理解、社会的スキルなどを、サイコパスは悪用し、次の犯罪に役立てるのだそうです。
多少生々しくグロテスクな表現がありますので、そういうのが苦手な方は注意してくださいね。
 
 

身体的アプローチ

心理臨床と身体の病

公認心理師には連携や恊働が求められます。ということは、ある程度連携先の専門知識も頭に入れておく必要があると言うことです。

心理師の方は心理学が専門です。ですから、こころのことについてはとても詳しいです。しかし、身体のこととなると意外と勉強していないことも多いのではないでしょうか?

ですが、身体の疾患からメンタルの不調を来すことは充分にあり得る話です。最近もネプチューンの名倉さんが身体疾患の手術の後遺症でうつ病になり、休養することを宣言されたばかりです。

news.yahoo.co.jp

こういう症状を呈した人が現れたときに、今後、公認心理師として説明が求められる機会も増えることでしょう。

しっかりと身体の疾患についても学ぶ必要が公認心理師にはあるのです。本書は放送大学の教科書として使われており、簡潔にまとまっているのでおすすめです。

 

 

マンガでわかる神経伝達物質の働き

よりミクロな視点から、身体を理解することも求められます。

公認心理師の試験には、以外と神経伝達物質の知識が問われる問題も多く出ます。

このことから、公認心理師には、単に疾患という「結果」だけではなく、その疾患が生じる「原因」つまり、そのメカニズムにまで理解を及ばせておくことが求められていることがわかります。

神経伝達物質は脳の働きを知らないと理解できないので苦手とする人も多いかと思いますが、今後高齢化社会が進む中で、この神経伝達の知識があるとかなり重宝されると思います。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

公認心理師に求められる知識が得られるおすすめの本を、できるだけ偏りなくご紹介しましたが、参考になるもの、興味を持ったものはありましたでしょうか?

 

専門家として働き続けるためには常に知識をアップグレードしなければなりません。必死であるクライエントのことを考えたら、それに負けないようにこちらも必死になる必要があるでしょう。

 

その点、読書というのはアップグレードするのに最適な自己投資です。

自己“投資”、と書いたのはどうしてかというと、実際、読んでもあまり参考にならない本もあるにはあるからです。その場合、他のより有益な本を読んでれば得られたものを得られなかったということを意味しますから、投資としては失敗です。機会損失というやつです。

 

しかし、そういう失敗の上に積み重ねていくことでしか、成功は導き出せません。ですから、たくさんの本に出会うことが大切なのです。

 

たくさん読めば読むだけ情報の洪水が頭に押し寄せるわけですから、それらを全て処理できるはずはありません。

ですから、よく聞かれる質問ですが「そんなに読んでて全部覚えられるんですか?」という質問には「覚えられません」としか答えられません。

しかし、これは意識としては覚えていない、ということであって、潜在的には頭に何らかの形でインプットされているはずなのです。

この細かい粒子状の頭にある情報は,何かのきっかけで化学反応を起こし、大きな存在感やひらめき、理解としていつしか顕在化してくる可能性を秘めています。

本を読まなければ、この可能性すらありません。

 

専門家は本を読むのが定めと言っても過言ではないと僕は考えています。

専門家になってしまった以上、たくさんを本を読みましょう^^

 

 

おまけ

心理師はこころを扱う職種のためか、現実面がお留守になる傾向があるように思います。

ですから、意識的に実生活を豊かにする知識にも触れていくことが必要でしょう。

そんな中でお勧めしたいのは、以下の2冊です。

 

上記はファイナンシャル・プランナーの資格取得を目指した教科書ですが、大変よくまとまっています。

一方、下記は日常生活でよく遭遇するお金の問題についてその傾向と対策を知っておきたいときに大変便利です。

 

しっかりと生活基盤を整えることも、仕事をしていく上では重要な要素ですね。