心理職でもできる資産形成と運用

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FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

【心理カウンセラー必見】厚生年金は女性蔑視? 繰り下げ受給は本当にお得?

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リヒト(@r2209)です。今日は、第2号被保険者が加入する厚生年金について見ていこう。第2号被保険者は厚生年金と同時に基礎年金にも必ず加入することになるから前回の記事も参照してください。

  

r2209.hatenablog.com

 

厚生年金は「わざと難しくしてるでしょ?」と思えるくらい、非常にわかりにくいです。

ですから、ここでは重要性の高いもの、ごくごく簡単な部分だけをおさえたいと思います。

 

 

保険料と給付の総額

基礎年金は固定額でしたが、厚生年金は違います。

厚生年金は標準報酬月額と標準賞与額によって決まります。この標準報酬月額と標準賞与額とはそれぞれ、収入とボーナスだと思ってもらえれば大丈夫です。

 

保険料率は収入とボーナスの額にそれぞれ18.3%が課せられます。

例えば、月収20万円を得ている方は、36,600円の保険料です。

ただし、労使折半される(半分は勤め先が払ってくれる)ので、実際の保険料は18,300円です。

  

このように、報酬によって払う保険料が異なるのです。

 

将来受け取れる老齢厚生年金の額も、現役世代に支払った保険料額によって増減します。これを報酬比例といいます。

  

 

加給年金

20年以上厚生年金に加入している第2号被保険者が65歳となって老齢厚生年金を受け取れるようになったときに

①65歳未満の配偶者がいる場合、

あるいは、

②18歳になって最初の3月31日までの子ども(その子が障害等級1、2級の場合は20未満の子ども)がいる場合、

家族手当的なものとして追加の年金を受け取れます。これを加給年金といいます。

 

受給額は配偶者がいる時は基本224,500円(別途第2号被保険者の生年月日に応じた特別加算があります)、子どもの場合2人までは各224,500円、3人目以降は各74,800円です。

 

配偶者が65歳になったら加給年金は停止されます。

しかし、その停止された分は配偶者に「振替加算」というかたちで給付されます。

 

年の差夫婦は少し得をするということですね。

 

保険マンモスのサイトがわかりやすいので図を引用します。

ãæ¯æ¿å ç®ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

振替加算とは、「だれが」「いくら」受け取れる? − 年金Q&A|家計&保険相談(無料)【保険マンモス】

 

 

繰り上げ受給・繰り下げ受給

基礎年金は繰り上げ受給・繰り下げ受給ができました。厚生年金も同様です。

繰り上げた月数×0.5%が年金額から減額され、繰り下げた月額×0.7%が年金額に増額されます。

 

ただ、老齢厚生年金を繰り上げ受給しようと思ったら、老齢基礎年金も同時に繰り上げ受給しなければなりません

一方、繰り下げ受給の場合は、老齢基礎年金と別々に行うことができます

 

 

繰り下げ受給がお得?

繰り下げ受給は繰り下げた月額×0.7%が年金額に増額されるわけですから、最大42%増となります。

これだけを聞くと、繰り下げした方が圧倒的にお得感があるように思うかと思います。

 

しかし、以下の話を知ってから実際にどうするかを決めても遅くはないでしょう。

 

 

加給年金は貰えない

年下の65歳未満の配偶者(ここでは「妻」とします)がいる場合、224,500円が加給年金として支給されます。

さらに夫が昭和18年4月2日以降に生年月日がある場合、165,800円が加算されます。

224,500円+165,800円ですから、390,300円、約39万円です。

 

仮に夫が65歳、妻が60歳のだとしたら、妻が65歳になるまでの5年間39万円×5年の約200万円が受給できる訳です。当然、それ以降は妻が振替加算を受給できます。

 

しかし、夫が繰り下げ受給を希望し、70歳から老齢厚生年金を受け取ることを希望したとしたら、どうなるのでしょう。

この場合、当然妻は65歳になっている訳です。加給年金は妻が65歳になると停止されるのですから、加給年金は貰えず、振替加算もされなくなるということを意味します!

 

 

遺族厚生年金は増えない

遺族厚生年金については後述しますが、ここでは繰り下げ受給に関する部分についてお話します。

 

厚生遺族年金は、厚生年金の加入者(ここでは「夫」とします)が亡くなるとその遺族に遺族年金が給付されるものです。

この厚生遺族年金は夫が65歳時の年金額で計算されます。従って、夫が繰り下げて年金を増額したとしても、遺族厚生年金自体は増額されません

 

 

税金が増える

これは基礎年金にも同じことが言えます

確かに70歳まで繰り下げて受給する場合、42%年金額が増えます。

しかし、年金もれっきとした所得(雑所得)ですので、受け取るときに税金や社会保険料がかかります

 

税金は所得が多ければ多いほどたくさんとられるものです。

試算によれば、年200万の年金があるとすると、それを繰り下げ受給すれば284万円になるはずですが、そこから税金や社会保険料を引くと241万円になります。実質33%しか増とならない、ということです。

 

以上のことから、単純に繰り下げをした方がいいという話ではなく、計画的にいつから受給するのがよいか考えた方が良いことが分かります。

 

 

障害厚生年金

障害基礎年金は1級と2級しかありませんでしたが、障害厚生年金はそれに加えて3級と障害手当金があります。

受給要件は初診日に厚生年金保険の被保険者で、障害認定日に障害等級1〜3級に該当することです。

 

年金額は1級の場合、老齢厚生年金の報酬比例の部分×1.25倍、2級の場合は老齢厚生年金の報酬比例の部分となります。さらに65歳未満の配偶者がいる場合には、これに加給年金額が加算されます。

3級は65歳未満の配偶者がいる場合でも報酬比例の部分のみとなります。

 

障害手当金は、障害厚生年金3級に達しない、いわば「4級」と言える障害の場合に、年金ではなく一時金として支給されるものだと思ってください。

障害手当金の給付額は、報酬比例の部分×2となります。

 

 

遺族厚生年金

25年間第2号被保険者であった方が死亡した場合、その遺族に給付されるものが遺族厚生年金です。

受給できるのは、死亡の当時生計を維持していた妻、夫、子ども、父母、孫、祖父母です。

今列記した順番がそのまま受給順位となります。つまり、基本的には配偶者に給付されますが、配偶者がいなければ子に、子もいなければ親が受給します。

 

ただややこしいのが、妻は無条件ですが、夫、父母、祖父母が受給権者となる場合55歳以上でなければならず、かつ、受け取れるのは60歳からです。

また、子や孫は18歳到達年度末、あるいは、障害等級1級2級の場合20歳までが受給できます。

 

ややこしい…

 

まあ、話しはしたけど覚える必要は無いよ(笑)

 

受給額は報酬比例部分の4分の3です。

 

 

若年の妻の失権

注意したいのが、遺族厚生年金を受け取ることになった妻が当時30歳未満で子どもがいなかった場合、受給できる期間は5年間となる点です。

 

え?なんでですか?

 

うーん、わからないけど、多分子どももいない若い女性はすぐに再婚できるだろうという考え方があるんじゃないかな…

 

それって、結構差別的な考え方ですよね…

 

 

中高齢寡婦加算

遺族厚生年金に585,100円が一定の遺族には加算されます。それが中高齢寡婦加算です。

寡婦」加算なので、妻が受け取れる加算です。

 

受給権者は夫の死亡当時、40歳以上65歳未満の子のない妻、または、子どもがいても40歳以上65歳未満で遺族基礎年金を失権している妻です。

 

子どもがいても40歳以上65歳未満で遺族基礎年金を失権している妻ってどういうことですか?

 

要は、40歳の時は18歳未満の子どもがいたけど、65歳になる前に子どもが18歳以上になった場合ということだよ。

 

なるほど。しかし、年金の話って言い方がややこしいですね。。。

 

 

今回、厚生年金についてお話しましたが、いかがだったでしょうか?「制度がややこしい。難しいな」と思われたと思いますがどうでしょうか?多分、わざとわかりにくい制度にしているのだと思います。

そうやって、誰かが何かを隠しているのかも。そう考えたら、怖いですね。