投資商品のいくつかを、投資のリスクと絡めて解説!
リヒト(@r2209)です。前回の記事では、投資と投機は違うこと、投資のリスクにはいくつか種類があることなどをご紹介しました。今回はその続きです。
預金とインフレリスクについて
前回の記事の最後に、普通預金・定期預金・国債・MMFも金融商品の一部だとご紹介しました。
この中で普通預金と定期預金、要は銀行にお金を預ける「預金」のことを「投資商品だ」と聞くと違和感を感じる人も多いかも知れません。
しかし、僕たちが銀行に預けたお金を使って、銀行が企業などにそれを貸し出し、利子を付けて返してもらいながら運用しているので、やっぱりこれも立派な投資商品なのです。
銀行に預けているお金は預金保護制度(ペイオフ)によって1,000万円までとその利息分は保護されているので、かなり低リスクです。しかし、ご存知のようにほぼ金利に期待はできません。
預金が投資商品である以上、預金にもリスクがあります。
それは、インフレリスクです。インフレによって景気が良くなると、物価が上がります。今まで100円で買っていたものが、200円でしか買えなくなるということが起きうるのです。
銀行に預けているお金はインフレが起きたからといって増えてくれたりはしませんので、上記のようなインフレ(100円の価値の物が200円になった)が起きた場合、銀行に預けていた100万円は実質50万円の価値しか無い、ということになります。
インフレが生活に与える影響
少しイメージしやすいように、インフレという現象を僕たちの日常生活にてらして考えてみましょう。
インフレが起きると僕たちの生活にとても大きな影響を及ぼします。
先ほど、「景気が良くなると、物価が上がります」と書きましたがこれはどうしてでしょうか?
景気が良くなると、皆が「あれが欲しい、これが欲しい」と購買威力が高まります。
すると、物の需要が高まりますので、どんどん商品が売れていきます。
どんどん物が売れていくということは、物の数が少なくなるということですから、希少性が高まります。
希少な物は価値が高い物と見なされます。だから物価が上がるのです。
これが「景気が良くなると、物価が上がります」の理由になります。
なお、企業は皆が「あれが欲しい、これが欲しい」と思う物をどんどん作って販売していく必要があるので、お金が必要です。
お金が必要な時、企業は銀行から借りてくることになります。
銀行からすれば、企業がこぞって「お金を貸して」と言ってくるので、お金の希少性が高まります。
希少な物は価値が高いと見なされるのでしたね。なので、景気が良くなると銀行の金利も高くなります。
以上は、説明の便宜上「インフレが起こったらどうなるか」という観点で説明してきました。
しかし、卵が先かニワトリが先かの話と同様、インフレが先か、景気の回復が先か、物価上昇が先かは誰にもわかりません。
これらの要因が複雑に絡み合ったときに「インフレ」という現象を確認できるにすぎないのです。
デフレとは
インフレとついでにデフレについても勉強してみましょう。
といっても、デフレはインフレの逆の現象です。
つまり、便宜上の説明をすると「景気が悪くなって、物価が下がる」現象のことを指します。
景気が悪い、ということは物が売れない状態であるということですから、企業はなんとか物を売るために商品の価格を下げる必要があるのです。
デフレ時には、企業は何とかして物を売っている状況ですので、新たに商品を生み出す必要性があまりありません。なので、わざわざ銀行からお金を借りる必要もありません。
でも、銀行は企業等に貸したお金の利子で運営しているわけですから、借りてもらわないと大変なことになります。
借りてくれない人に貸そうと思ったらどうしたいいでしょうか?
そう、金利を下げるしかありません。
少しでもお金を借りてくれて、そのお金で商品を作ってくれさえすれば、その商品を買ってくれる人が出てくるかも知れません。
そうしてその商品を「欲しい」と思ってくれる人が増え始めれば、再び企業はお金が必要になりますから、銀行からお金を借りてくれるようになるでしょう。
デフレは経済成長を考えた時、早めに脱した方がよい現象であることがわかります。
ということは、常にインフレ状態にしておく必要があるということですね。
確かにそう思えるかも知れませんが、必ずしもそうとは言い切れません。
もちろん、景気は悪いより良いにこしたことはありません。景気が良くなれば、どんどん市場にお金が流通するということであり、僕たちの給料もその分だけ増えていきます。
しかし、この状態がずっと続けば「誰もが簡単に1万円稼げる」という状態になり、以前までと比べて1万円の価値が下がります。
するともはやお金に魅力はなくなりますので、朝食のパンを買うために一億円の現金を持ち歩く必要が出てきてしまうかも知れません。
確かにそんな日常になったら大混乱ですね…。
お金によって支えられていた生活に破綻を来します。
何のために働くのか、どうやって物を手に入れれば良いのか、自分の物と他人の物との境界はどこなのかなど全くわからないカオスと化します。
このように、お金の価値が全くなくなってしまい、銀行にお金を預けていることに意味がなくなってしまうことをインフレリスクというのです。
国債とMMFはセットで覚えよう
預金も投資商品であることが、インフレリスクを考えることで少しご理解頂けたかと思います。
さて、次は国債についての解説です。
「国債」はご存じの方も多くいらっしゃる事と思います。国が発行する債券(借用証書)で、要は国の借金のことです。
債券の場合、株と違って「貸しているだけ」なので、借りている方は返す義務があります。
国が財政破綻することはよっぽどのことですから、ほぼ返してくれると期待して良いでしょう。そのため、債券は比較的低リスクです。
国債と同じようなものですが、各企業が借金を発行するものを社債といいます。これももちろん投資商品です。
MMFとは?
上記した国債や社債(会社の借金)を多くの人から集めたお金(こうやって多くの投資家からお金を集めることをファンドといいます)で購入し、そこで得られた運用益を投資家に分配することをMMF(マネー・マーケット・ファンド)と言います。
社債は会社が倒産するリスクがあるので、リスクは高めですが、国債も含んで分散投資しているので、MMFも比較的低リスクです。基本的に元本割れすることはありません。
信用リスクについて
ただし、リーマンショックのようなことがあると、話は別です。
リーマンブラザースが発行した社債が返済できなくなり、MMFも元本割れしたのです。このように、投資先(この場合はリーマンブラザース)が破綻してしまうリスクを信用リスクといいます。
投資を行うときには、このようなリスクを知り、出来るだけリスクを抑えた運用が求められますね。