心理職でもできる資産形成と運用

心理職でもできる資産形成と運用

FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

世界で一番カンタンな投資とお金の話

本書を読んでから「お金儲けは悪いことですか」発言を考えると、その印象が随分変わると思います。 

 

子ども達に正しい投資を教えたいと考えている投資家の村上氏と、その考え方にさん同士ながらも自らは投資経験がほぼない漫画家である西原氏との間のやりとりが会話形式で書かれています。

 

村上氏は、あの「お金儲けは悪いことですか?」発言が物議を醸し出した村上ファンド創始者である村上世彰さんです。

 

一方の西原理恵子さんのことは、僕はこれまで全く知らなかったのですが、あの高須クリニック院長のパートナーらしいですね。

本書を読んでいて「漫画家ってこんなに儲かるの?」と思うくらい「金持ってんなぁ…」という印象を持ったのですが、なるほどですね。関係ないかも知れないけど。

 

 

それはそうと、話を本書の内容に移すと… 

投資はギャンブルだと思われ、倦厭されがちですが、ギャンブルは期待値がほぼ必ず1以下に設定されています。

本書によれば、

ボートも競馬も競輪も、「儲け金のうちいくら払い戻せ」というのが法律で決まっています。その比率が0.75。

P25 

 とのことで、必ず僕たちが損をするように作られているのです。

 

宝くじに至っては、リターン率45%ということで、テラ銭が半分以上です。

宝くじのことを「愚か者の税金」という人もいますもんね。

買った瞬間55%が国に持って行かれるわけです。高給取りもビックリな税額ですね。

 

 

一方、投資はそのような期待値の設定が成されている訳ではありません。期待値を1以上にしようと思えば、できるのです。

投資は企業の成長を信じて、そこにお金を出す行為ですから、立派な経済活動なのです。

 

もちろん、「愚か者の税金」も国に納める訳ですから、考え方によっては経済活動ですが、期待値1以下のところで経済活動を行うのか、それとも1以上になり得るところで経済活動を行うのかを考えたら、どちらが自分に取ってプラスになるか、答えは明確ですよね。

 

ただ、投資で一番大切なのは、お金儲けをすることではなく、上記のような事柄に触れて賢くなることだと思います。

投資の勉強をすれば、誰でも「宝くじは愚か者の税金」ということを知ることができます。

それに、人間には欲があるから、「どうせ投資するなら勝ちたい!」と思いますよね。

そうすると、自然と政治や経済のことに敏感になります。なぜなら、株の上がり下がりは

基本は「マインド」

P68 

 によって変動するからです。

アメリカと中国とで貿易戦争しているから経済状況は悪化するかもしれないな」などという読みで株の売り買いが行われるのです。

 

本書にも

投資をしていれば(ニュースを)見ないわけにはいかない。見ているうちに、世界のどういう動きが日本の経済、自分の持っている株にどう影響するのか、だんだんわかるようになってくるはずです。そういう能力を高めていくことが、投資をやる一つの意義でもあると思いますね。

P114ー115

とあります。

 

こういう好奇心が強い人は株式投資に向いているでしょう。

本書によれば、もう1つ、株式投資に向いている人の特徴は「数字に強い人」だそうです。

成長率や現在のGDP、人口、借金、こうした大きな経済の指標はもちろんのこと、為替レートや土地・住宅の価格、平均的な所得など

P100

を全て頭にたたき込むと、投資で差が出るようです。

 

「数字は得意だけど、お金はない」と言う方には、ネオモバがオススメです。

 

 

こういうのが苦手な人は(僕のことです)インデックスに連動したファンドを買うと良いかと思います。

 

 

話がそれました、すいません。

本書の内容に戻ります。 

 

本書によれば、村上氏や高須氏は「自分のお金をどんどん減らしていこう」と考えているらしく、社会貢献のためにお金をどんどん使っているそうです。

二人とも、年金も放棄したとか。

 

とても素晴らしい心がけです。社会への投資活動と言えるでしょう。

ただ、一般庶民である僕たちには、ちょっと真似できませんね…

 

 

一方、もう一人の著者である西原氏は、「最高級でなくてもちょっとだけいいものを買う」という考えのもとで購買を選択しているようです。これは生産者への投資活動であり、この投資もとても立派だと思います。

 

今は少しずつ給料が上がって景気が回復してきていると言われていますが、中小にその実感が湧くまで浸透するのにまだまだ時間がかかります。

しかし、もし僕たち1人ひとりが、ちょっと高いけど生産者の顔が見える商品を選択的に購入することをしたら、その浸透のスピードが少し上がるかもしれません。

 

 

とてもいい心がけですし、こちらの投資なら一般庶民の僕でも真似できそうなので、真似できる範囲で真似したいと思いました。

 

こういう投資は自分に対して「よくやったね」っていう気持ちになるのでクセになるそうです。

病気や貧困で困っている人を助けたり、被災地で働いている人の活動に間接的に参加できたわけだから。「寄付させてくれてありがとう」なんですよ。

P184ー185

というのが、村上氏の主張です。

 

確かに、「他人に投資する」は幸福感を高めることが知られていますが、ここまでの境地にたてる方はそうそういないのではないでしょうか?

とても凄い方だと思います。

 

編集後記本書には裏切られました。タイトルから投資手法のノウハウが知れると思って手に取ったのに、そういう話は殆どなかったからです。
しかし、ただお金を儲けるだけを考えるだけではない、投資の本来の目的を教えてもらったように思います。

お金があればその分社会貢献もたくさんできるのです。
この村上氏のスタンスを踏まえた上で「お金儲けは悪いことですか?」発言を考えると、悪いことではないと断言できます。
マスコミによって歪められて報道され、村上氏は良くない印象を持っている方も多いかと思います。
しかし、本書を読むと全く違う村上氏の姿が見えてくると思います。投資の本来の目的に立ち戻る際、本書は必要な一冊になりそうです。