心理職でもできる資産形成と運用

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FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

勘定科目って何?仕訳って何?簿記実務の実際

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リヒト(@r2209)です。
前回の記事では簿記の大まかな流れについておさえました。今日から、その一つ一つの具体的な内容を学んでいきたいと思います。

 

 

 

 

仕訳ってなに?

「働く」ということには、その対価として得られた何らかの金銭の授受が付随します。

簿記では、このようにその日一日に行われた金銭の取引を集計し、それを記録していきます。

その記録の仕方の初めの一歩となるのが、これから一緒に学んでいく仕訳という作業になります。

 

といってもよく分からないと思いますので、詳しく説明しますね!

 

このブログでは、基本的に複式簿記についてお話しします。

複式簿記とは、取引の二面性に着目して記録していく方法のことを言います。

 

まずここをおさえてくださいね!

 

例えば、パソコンを15万円で購入したとします。

この場合、パソコンという資産が増加するという側面があると同時に、現金という資産が減少したとい側面があります。

 

取引の二面性に着目、とはこのようなことをいうのです。なんとなくお分かりになられたでしょうか?

 

念のため、もう1つのケースで考えてみましょう。

 

今度は1回のカウンセリング料を7,000円と設定し、3人のクライエントから現金で料金を受け取った場合です。

 

この場合はさっきのPCのケースとはやや異なります。

今回のカウンセリング料の場合、7,000円×3で21,000円の現金という資産が増加するという側面と同時に、収益という資産が増加するという側面があります。

 

このような二面性を持つ取引を借方の要素と貸方の要素に分けるのが仕訳、という作業なのです。

 

うーん、なんだかわかったようなわからないような…
そもそも借方、貸方ってなんですか??

 

この二面性に着目するという考え方をより一層理解するためには、次に説明する貸借対照表(バランスシート)と損益計算書のことを知っておくとよいでしょう。

 

きっと、この二つを理解すると仕訳の二面性も理解しやすくなると思いますよ。

 

 

貸借対照表(バランスシート)と損益計算書

この借方と貸方を理解するには、簿記をする最終目標である貸借対照表(バランスシート)と損益計算書について知っておく必要があります。

 

今こうして複式簿記を勉強しているのは、青色申告に備えるためでした。

そしてその青色申告の際に必要となる資料の代表が、貸借対照表(バランスシート)と損益計算書です。

 

 

貸借対照表(バランスシート)とは「財産がどれくらいあるか?」を示すシートです。

こんな表を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

       
  貸借対照表(バランスシート)  
(借方) 資産 負債 (貸方)
   
   
   
   
   
  純資産  
   
   
   
   
   
       

資産や負債は何かすぐにわかりますよね?

 

一方、純資産についてはよく分からない人もいるのではないでしょうか?

純資産とは、出資者から出してもらったお金で返済の必要がないお金などのことです。例えば資本金などがそうですね。

 

 この貸借対照表(バランスシート)において、特に重要なのは、

「資産」は左側(借方)にくるのが基本ポジション

「負債」と「純資産」は右側(貸方)にくるのが基本ポジション

 ということです。

 

これは「こういうもの」として覚えてくださいね。

 

 

対して、損益計算書とは、「いくら儲かっているのか?」を示すものです。

こちらはこんなシートとして表されます。

       
  損益計算表  
(借方) 費用 収益 (貸方)
   
   
   
   
   
   
  利益  
   
   
   
       

貸借対照表(バランスシート)と似ていますが異なるものですからしっかりとこの違いを把握しておいてくださいね。

収益から費用を差し引いたものが利益となります。

 

この損益計算書において、特に重要なのは、

「費用」「利益」は左側(借方)にくるのが基本ポジション

「収益」は右側(貸方)にくるのが基本ポジション

 ということです。

 

これも「こういうもの」として覚えてくださいね。

 

ちなみに、「借方」「貸方」という言葉に意味はありません

借方が左側、貸方が右側ということだけを覚えておいてくだされば大丈夫です。

 

 

仕訳帳への記入

ここまでのお話し、ついてこれてますでしょうか?

まとめると、「資産」「費用」「利益」は借方が基本ポジション、

「負債」「純資産」「収益」は貸方が基本ポジションであるということです。

 

さて、ここでもう一度、先ほど例に挙げたパソコンを15万円で購入した場合を考えてみましょう。

この場合、パソコン(備品)という資産が増加したと同時に、15万円の現金という資産が減少しました。

 

「資産」は借方(左側)が基本ポジションでしたね?

 

増加した場合、基本ポジションのまま仕訳されます。

ところが、減少した場合基本ポジションとは逆のポジションに記入されることになります(つまり貸方(右側)に仕訳される)。

 

ここも「そういうもの」と思ってください。

 

図にするとこんな感じです。 

    仕  訳  帳    
月  摘要 元丁 借方 貸方
X Y (備品費)   150,000  
    (現金)     150,000
    PC      
           

 

 

同様に、1回のカウンセリング料を7,000円と設定し、3人のクライエントから現金で料金を受け取った場合でも考えてみましょう。

 

この場合、合計21,000円分の現金が資産として増加し、同時に売上として収益が増加しました。

 

「資産」は借方(左側)が基本ポジション、「収益」は貸方(右側)が基本ポジションでしたね?

 

ですから、仕訳帳には借方の方に現金が21,000円増えたこと、貸方の方に売上が21,000円分増えたことを記入する必要があります。

 

図にするとこんな感じです。下記をご覧下さい。

    仕  訳  帳    
月  摘要 元丁 借方 貸方
X Y (現金)   21,000  
    (売上)     21,000
    カウンセリング料      

 

 

なお、ここにある()内にある「備品費」や「現金」「売上」というのは勘定科目と呼ばれるものです。

 

どのような勘定科目があるか、人材ドラフトさんのサイトが非常に分かりやすくまとめてくれていましたので参照してみて下さい。

ビジネス支援:[経理処理マニュアル 経理は整理整頓が大事]|人材ドラフトより

 

 

総勘定元帳への転記

いかがでしょうか?

仕訳自体はそんなに難しものではないはずです。

 

しかし、貸借対照表(バランスシート)と損益計算書が頭に入っていない間は多少混乱してしまうかも知れませんね…

 

どうしてこんな混乱するような作業をするかというと、次に行う勘定元帳への記入の際にミスをしないためです。

まずはどんな勘定科目に基づく取引をしたのかをコツコツ記録し、その後勘定科目毎に整理した方がミスがないのです。

 

この、仕訳をもとにして総勘定元帳へ記録を転記していく作業を元帳転記といいます。

 

総勘定元帳は何が「総」なのかというと、いくつかの勘定口座が1つにまとまっているから「総」勘定元帳と呼ばれます。

勘定口座とは、先述の勘定科目毎に記録するための用紙のことです。

 

要は、勘定科目毎にお金の出し入れを分類していくものが元帳転記だと思って下されば結構だと思います。そうすることで、各勘定科目の合計金額や残高がわかるのです。

 

…と説明しましたがおそらく今ひとつ伝わっていないと思います。

ここも図で説明した方が分かりやすいと思います。オフィスサポートさんの画像が分かりやすかったので引用します。

簿記 転記とは - パソコン講座・簿記・社内研修講座 オフィスサポート 浜松より

 

このような感じで、まずは全ての取引を仕訳帳にまとめ、今度は各勘定科目毎に勘定口座へ転記していくのです。

上記の図は現金についてまとめられていますが、もちろん、現金以外の他の勘定科目についても同じ要領でまとめていきます。

 

 

合計残高試算表で間違いがないかチェック

元帳転記が終わったら、それが正確になされているかどうかを確認します。そのために作成されるのが合計残高試算表です。

合計残高試算表
借方 勘定科目 貸方
残高 合計 合計 残高
    現金    
    当座預金    
    買掛金    
    未払い金    
    売上    
         
         
Y X   X Y
         

 

仕訳帳から総勘定元帳への転記が正しく行われていれば、借方と貸方の合計金額は必ず一致します。

 

会計ソフトを使えば、仕訳から総勘定元帳への転記は正確に、かつ、自動でやってくれるので問題はないでしょう。

 

無料で使える「やよいの青色申告 オンライン」などの会計ソフトを使うと便利です。

 

ただ、できあがった合計残高試算表を見ることで、毎月の経営状況を把握できますので、そのためにチェックするのもありだと思います。

 

毎月作成すると、1年で12枚の合計残高試算表ができているはずです。

これに決算整理という手続きを行ってから、今度はいよいよ決算書を作成していきます。