心理職でもできる資産形成と運用

心理職でもできる資産形成と運用

FP×心理Thによる資産にまつわるアレコレのお話

大学4年間の経済学がマンガでざっと学べる

経済学を学ぶことは、賢く生きることに直結します

 

経済学自体がとても難しい学問ですので、これを読んだだけで人に説明できるレベルにはならないでしょう。

 

しかし、マンガ形式なことと、イラストレーターの方が経済学素人を代表して質問をしてくれていることで、それへの解答から同じく経済学素人(僕のことです)でも理解できるように工夫しているので、楽しみながら読むことが出来ます。

 

「そうそう、そこがわかんなかったの。よく質問してくれました!」

という感じで。

 

本書は大きく2部構成となっていて、前半がミクロ経済学についてです。

本ブログとも関係するところで言えば、P118からP124まで続く「市場の失敗」は必読です。

 

このブログでは、「医療保険は入らなくても大丈夫」ということを強調してきました。

それは、そもそも商品としてそこまで有益なものではないから、つまり「市場の失敗」をしているからです。

 

その商品性に輪をかけて「医療保険は入らなくても大丈夫」の根拠となるのが、サービスを必要とする人の属性です。

 

医療保険をより必要とする人はどんな人でしょうか?

もちろん、健康な人ではなく、不健康な人です。

 

保険会社からすると、不健康な人ばかりを加入させると採算が取れなくなります。

 

するとどうなるか。

 

会社は買い手が求める質の高い商品ではなく、会社に利益がより残る(買い手からすれば)質の低い商品を売り込むことになります。

本来、良い商品を提供するのが企業の役割ですが、それが出来なくなってしまうのです。

 

このように、どんどん質の悪いものが選ばれていく現象を「逆選択」と言うそうです。

 

医療保険はいらない」という金融リテラシーを得る人が増えれば増えるほど、医療保険逆選択は加速するわけですが、そうなればますます医療保険は不必要なものとなっていくでしょう。

知るものと知らざるものの差はこうやって逓増してくのですね。

 

 

また、P28で解説されている機会費用・機会損失の概念は投資をするときにも大変重要な考え方ですので、本書を読んで確認しておくことをオススメしたいと思います。

機会費用とは

もし他の選択をしていたら得られていたはずの収入も費用と考える
P28

ことです。

やらない、選ばない、は0ではなく機会損失してる分マイナスなのです!

 

 

後半はマクロ経済学です。

こちらで本ブログと関係するのはP154にある「IS曲線」と「流動性の罠」でしょうか。

 

利子率が減少すると企業はお金を借りやすくなるので、そのお金を使って生産活動を活発化させます。

それは企業の成長が期待できるということなので、投資をする好機になります。

この関係を示したのがIS曲線です。

※Iとはinvest(投資)を意味し、Sはsaving(貯蓄)を意味します。

  

今の日本は相当利子率が低いですよね。ということは、IS曲線から推察するに、投資をする絶好のチャンスを迎えているといえそうです。

 

ですが、一方で、将来への不安が強くなっている側面もあります。

こういう不安があると、貨幣を貯蓄に回す人が多くなりがちです。貨幣なら他のものといつでも手軽に交換できるからです。持っていれば何かと安心できますよね。

 

ところが、こうなるとお金が貯蓄に回る分、投資には回っていきません。

すると企業はお金を手にすることはできませんから生産活動が生じにくくなります。

こうなると、国全体にマイナスの影響を及ぼしかねない危険があります。

 

このような、貨幣の「物と交換しやすい」という便利さが却って経済活動を不活発化させることを流動性の罠と言うそうです。

 

 

他にもインフレやGDPなど、知らないとちょっと恥ずかしい、けど難しい経済学用語についてわかりやすく解説してくれています。

 

普段本をあまり読まない方も、マンガなら取っ付きやすいのではないでしょうか?

 

編集後記経済学は誤解をされやすい学問です。お金を扱うというその性質から、ガメツい、エゴイスティック、などというイメージをもたれがちです。

しかし、そのイメージは経済学の本当の姿とはかなりかけ離れています。経済学の本当の姿は、万民の幸福なのです。

今後、資産形成や運用を自助で求められる時代がやってきます。そういう時代となった時、一人ひとりに経済学の基本が身についていることがより一層求められてくると考えられます。