臆病者のための億万長者入門
「臆病者」とは、僕(たち)のことです。
僕たち心理カウンセラーは、どちらかというと内向的で、受け身で、冒険を好まない人が多いですよね。まさに「臆病者」です。
それでいて、お金の話にはあまり頓着しない。これはよい意味でも悪い意味でも。
もちろん、対人援助という仕事そのものの中でお金儲けを企てることは卑しいことかと思います。しかし、
資産運用は金儲けの手段ではなく、人生における経済的リスクを管理するためにある。(中略)資産運用でもっとも大切なのは目先の利益ではなく、将来の予期せぬ経済的な変動から自分や家族の生活を守ることにあるはずだ。
P6
という観点からお金のことを考えた時、それは果たして卑しいことでしょうか?
むしろ、心理カウンセラーにこそ必要な視点ではないでしょうか?
僕たちは残念ながらあまり裕福な職ではありません。そんな職でも、クライエントを含め、守るべき存在がたくさんいます。そんな僕たちだからこそ、資産について考える必要があるように思うのです。
次の引用も、僕たちに援助職という仕事とお金の問題が不可分であることを示してくれています。
雀の涙のような賃金では、やりがいすら生まれてこないのも確かだ。私たちは自分の働くちから(人的資本)を有効に使って、労働市場(多くの人にとっては会社)から得られる幸福を最大化しようとしている。
P27
僕たちは皆心理臨床という仕事にやりがいを感じています。賃金が少ないという中でこれは立派なことです。
しかし、限界があります。ある程度の資産がなければ、やりがいもその状況に搾取され、自らの幸福も、クライエントの福祉も達成できなくなる危険があります。
僕たちにこそ、ある程度の金融リテラシーが必要なのです。せめて本書を読んで「ふーん」と思えるくらいには。
人に説明できるほど詳しくなる必要はありません。
もちろん、金融リテラシーを持って資産形成をしていくためには「働けること」が前提となります。働けない状態では賃金を得られないどころか、仕事を通してのやりがいも得られません。このブログでも「身体的資産」を扱う予定でいるのは、そういうことが理由になっています。
本書は、上記した資産形成・運用の前提のもと、どのようにすれば資産を蓄えていけるかを、年金、保険、株式投資、為替、不動産、等といった観点から記述しています。
それぞれの話はとても参考になります。
例えば、株式投資の話では、PERやROE、インデックスなどの用語が出てきて少し難しく感じるかも知れませんが、そこを我慢して読めば日本人の投資アレルギーも少しは治癒するのではないでしょうか。
不動産の話では、マイホームを買うことのリスクをレバリッジやバランスシートの図を使ってわかりやすく書いてくれています。
本書は、本ブログと大体同じ主旨のことを言っていると思います。貯蓄型の保険には入らない方が良いとか、マイホームは買わない方がいいとか。
本書はその結論に至るまでの説明に投資的な根拠を使って解説してくれているので、とても説得力があります。